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2021.11.18

ずっと起業家でいたい。「フェアな社会」で評価されることの面白さ


資金調達のフェーズでは比較的フェアな場合が多いと思います。投資家は起業家のバックグラウンドではなく、世の中に提供できる「価値」をオープンに評価するからです。業界を見渡しても、「サービスが良いね」「業績が伸びてるね」と公平に評価してくれる人が多い。だからこそ起業家は、ビジネスを遂行する知見や、仲間を集める能力などが最も大事になってきます。

とはいえ「女性だから、学生の起業だから、断られたんじゃないか?」などと差別を疑うようなケースもあるかもしれません。そういう時はコミュニティを広げて、よりフェアに評価してくれる投資家とのネットワークをつくればいいんです。

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「いいプロダクトをつくり、価値を高めてユーザーに届ける」。そう強い意志を持ってやり続けていくと、自然とそういう仲間ができてきます。起業家にとっては、「自分は何がしたいのか、何に人生をかけたいのか、やるべきことを徹底的に調べてプロダクトと向き合っているか」を考えることこそ、大事なことだと思います。

プロダクトはユーザーの反応がすべて。すごくフェアなんです。学生が出そうが大手企業が出そうが、良いプロダクトであればユーザーは気にしない。少人数で立ち上げたInstagramやWhatsAppが、こんなに大きくなるとは誰も思わなかったですよね? どんなプロダクトも、国内外の多くの人に受け入れられる可能性があります。

フェアだからこそ「ユーザーファースト」で


僕自身、そうした「フェアな社会」で評価され続けたくて、「ずっと起業家でい続けたい」と思っています。いくつかの企業に投資もしているので“エンジェル投資家”と言われることもありますが、あくまで起業家でいたい。

起業家の立ち位置は自分にとってとても心地がいいんです。プロダクトを開発して世の中に広げ、お客さまが喜ぶ顔を見ることができる。「世の中に価値を提供できたんだ」と実感できることが、僕にとってすごく心地よい状態です。

そのために僕は「ユーザーが喜んでいる」といった定性的な反応はもちろんのこと、そのプロダクトによって「どのように時間が削減されたのか」や「精神的な負荷の変化」など定量的な部分も細かく検証しています。そうして積み上がったデータやユーザーからの信頼、運用実績がシステムを向上させ、プロダクトの価値を高めていく。つまり、プロダクトの開発はユーザーファースト。「ユーザーにどのような体験価値を届けられているか」にこだわるのが大事です。
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文=西崎圭一 取材・編集=田中友梨 撮影=杉能信介

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