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いまやらなきゃ20年後の自分が後悔する


これらの経験を経て、矢澤は、やりたいことがあったらぶれずに目指し続けて実現できる人になりたいと思うようになった。

「自分が女性だからあえて『女性の場合』という言い方をしますが、女性の場合、やらない理由をつくるのはきっと男性より簡単なんですよ。子どもがいるから、パートナーが反対しているから、介護があるから。

理由をつけて逃げることは簡単ですが、本当に自分がやりたいことなら常に挑戦し続けたいと私は思います。やれなかった、やらなかったという経験が自分の中に積み上がったら、10年、20年後にすごくつまらない人生になってしまうと思う。やりたいと思ったらやる、実現できる人でありたいし、人の参考になるような人になりたいなと思います」

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そんな矢澤にとって、目標とする存在はサムライインキュベートを立ち上げた榊原健太郎氏だ。榊原氏は「できるできないでなくやるかやらないかで世界を変える」というミッションを掲げ、文字通りぶれることがないと矢澤は言う。

物事の本質をはっきり言い過ぎたり、苦言を呈したりすると批判の的になってしまいそうだが、そんなときも榊原氏は躊躇しない。安易に同調圧力に負けないところをリスペクトしているという。

「私の場合、どうしても相手の思いを汲みすぎてここで異論を唱えたら傷つけるかもしれない、と及び腰になってしまうことがあります。あるいは、株主総会で他のVCと同じ方針を掲げた方がいいのかなと迷うことも。

大事なのはそういうことじゃなくて、自分が正しいと思ったなら曲げずに貫き通す。その強さなんだと思います」

いまYazawa Venturesは、SDGsやSaaS、ヘルスケア、健康、教育などを軸に投資活動を行っている。「働く」をテーマとし、企業の生産性を上げ、個人の働き方を変えるスシード期のスタートアップに投資している。

これからキャリアを築いていく金融業界の後輩女性たちに対して、矢澤はこう思っている。

「彼女たちは、私たちの世代が変えたことを良くも悪くも引き継いでいくと思うんです。もちろん私たち世代のすることが良いことばっかりではないと思います。そのとき、過去の良くないところはちゃんと取捨選択しながら、良いところをもっと伸ばして社会に大きなインパクトを出していってほしいと思います」

矢澤は何でもできるスーパーウーマン、というわけではない。日々悩み、目の前の壁に必死に挑みながら、少しずつ彼女自身にとっての「正解」を模索している途中なのではないだろうか。

文=石川香苗子 写真=小田駿一 編集=松崎美和子

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