ビジネス

2021.11.21

医療関連の事務手続き自動化で、米国で急成長を遂げるメダリオン

Jose Luis Pelaez Inc/Getty Images


さらにローは2020年1月、東海岸を訪ねた際に、ロー(Ro)の共同創業者兼CEOのザッカライア・レイタノと会う機会があった(開示事項:フォーブス・メディアはローに少額の出資を行っている)。

その後、地元に戻り、医療業界について調査を始めたローは、その旧態依然とした手続きのあり方に「ショックを受けた」と振り返る。カリフォルニア州を例にとると、医師免許を申請した者は、犯罪歴のチェックのために指紋の提出が義務づけられているが、州外に居住する者が申請した場合、指紋採取のためのカードは医事委員会から郵送される。申請者は、このカードを持参して地元の警察署に赴き、指紋を採取してもらわなければならない。

さらにローによれば、多くの州で免許を持つ医療従事者ほど、新たな州で免許を取得する手続きが煩雑になるという。例えば、49州で免許を持つ者が、残り1州で新たに申請を行うと、49州すべてに照会が必要となるのだ。

「メダリオンが最終的に目指すのは、医療行為に直接関係ない事務作業をすべて自動化し、医療システムと医療従事者にかかる負担を解消することだ。そうすれば、彼らは患者のケアに集中できる」と、メダリオンに最初に投資を行ったレイタノは指摘する。

メダリオンはその創業以来、医療従事者の免許関連業務にとどまらず、支払人登録や、資格認定にも事業を拡大している。支払人登録とは、医療従事者が健康保険会社のネットワークに加わるために、保険会社が要求するすべての情報を集め、提出する業務だ。また、資格認定とは、医事委員会発行の証明書や、医療ミスの前歴の有無などをチェックする、いわば徹底した経歴調査だ。

メダリオンにはマーケティングを担当する部署はないが、その顧客数は、2021年はじめの25社から、現在は100社に迫るまでに急増している。ここまでの急成長は「まさに口コミで達成したもの」だと、ローは語っている。

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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