起業、投資、ビジネススクール。シャラポワはなぜ転身に成功したのか

マリア・シャラポワ / 写真=セレステ・スローマン


──「シュガポワ」はどう発展させていきますか。

「シュガポワ」は集中して取り組む事業のひとつです。消費者は商品のメーカーや体にいい原料について詳しくなってきているので、私たちは研究と新しい製法の開発に注力しています。シュガポワはナチュラルな味を売りにしていて、主力のガムとチョコレートにはオーガニックシュガーを使用しています。21年は新しい種類のチョコレートを発売予定です。


唇のモチーフが目印のパッケージにはハートやテニスボールなどをかたどったグミ菓子が詰まっている。売り上げの一部は子どもの夢の実現を支援する「マリア・シャラポワ財団」に寄付される。

──ウェルネス企業のTherabodyをはじめ、数社のスタートアップ企業に投資されています。どのような投資戦略をおもちですか。

プロジェクトの選択においては、代表者との信頼関係を築ける会社を優先しています。単なる投資家の枠を超えた、より重要な役割を果たせるからです。私に企業活動の戦略的な局面に参加するチャンスを与えてくれて、建設的なアプローチをしながら、常にビジネスを発展させようとしているパートナーと仕事をするようにしています。

──最後に、昨年、婚約を発表されましたが、アスリートの両親がとるリスクについて、どうお考えですか。あなたの両親と同じことを将来、自分の子どもたちにすることができますか。

私の家族が、ずっと自分を犠牲にしてきたことに対して、心の底から感謝しています。アスリートだったことで、私は信じられないようなチャンスや経験を得ました。そして、両親が私を支えてくれたように、子どもたちを支えたいと思います。それから、自分の子どもであれ、このインタビューをいま読んでくれている誰かであれ、子どもたち一人ひとりが、スポーツとは恐ろしく厳しいものだということを理解できるように、私にできることを全部したい。輝くトロフィーを手にする笑顔の私の写真の一枚一枚の後ろには、とてつもなく厳しいトレーニングをした膨大な時間と、多くの敗北があるのです。大きな勝利は簡単には手にできません。これは、スポーツでも、人生でも重要だと思う教訓です。


発売イベントではシャラポワに憧れ訪れる少女の姿が。常に子どもたちの見本になりたいと考え行動する。
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文=ユリア・ワルシャフスカヤ 写真=セレステ・スローマン 翻訳=石橋むつみ

この記事は 「Forbes JAPAN No.085 2021年9月号(2021/7/26発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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