「1つの独占企業によって人々が読み、消費し、購入するものが決められ、ユーザー自身がコントロールできない状況はクレイジーだ」とyou.comのCEO、Richard Socherは話す。
Socherと共同創業者のBryan McCannは、セールスフォースでAI(人工知能)プラットフォーム「Einstein」の開発に携わった経歴を持つ。彼らは、既存の検索テクノロジーによる広告やSEOのバイアスをなくし、ユーザーがウェブ上の行動を自身でコントロールできるようにすることを目指している。
「我々は、力強く斬新なインターフェースをさらに輝かせるためには、AIを導入する必要があることに気づいた」とSocherは説明する。you.comのインターフェースでは、左右にスワイプすることで類似のコンテンツを閲覧でき、上下にスワイプすれば異なる種類やソースのコンテンツを閲覧できる。
ユーザーは検索結果をパーソナライズしたり、好みのソースを決めることができるほか、利便性を保ちながらプライバシーを強化することができる。
「多くの人は、ある時はプライバシーを求め、別の時には利便性を求める。我々は、ユーザーが同一の検索エンジン上でどちらかを選択できるようにした。you.comのパーソナライズドモードは、グーグルと違ってデータを誰にも共有せず、プライバシーを侵害する広告も表示しない」とSocherは話す。
しかし、プライバシーを侵害する広告抜きで、you.comのビジネスは成り立つのだろうか?
「我々は、別な方法で収益を上げ、オープンで無料なサービスを提供し続けたい。現段階では、事業を成長させることに専念している。いかなる状況でも、我々はユーザーのデータを販売したり、プライバシーを侵害する広告やサードパーティによるトラッキングなどのマネタイズ手法は用いない」とSocherは述べた。
グーグルとは別のビジネスモデル
昨年、Socherはユーザーがオンラインで買い物をする際、複数のショッピングサイトを検索しなくて済むよう、大手小売店と提携して、そこのカタログを表示するようにしたという。すると、ユーザーから広告と勘違いされて批判されたという。
「多くの人は、検索した製品に関連した情報が表示されると、それを広告だと認識するようになっている」とSocherは話す。彼はyou.comで、ユーザーの誤った認識を正したいという。彼らのビジネスモデルはまだ発展途上だが、現時点でyou.comで製品を検索すると、関連するレビューサイトにたどり着くようになっている。