渋谷から全国8カ所へ。まちづくりプログラム成功のカギとは

横浜をつなげる30人


地域コミュニティ活性化


名古屋と町田では、高齢化や人材不足が課題となっている地域コミュニティの活性化が大きな目的として「つなげる30人」が実施されている。これまでまちづくりに接点がなかった地元企業と町会、自治会などの間に“新しいつながり”を作りながら、地域課題を共有し、それを解決する事業を共創していくことが狙いだ。

名古屋では、地域活動と連携した社内報づくりや、民間による自殺対策事業のプロジェクトなどが生まれ、地元紙でも連載が組まれるなど注目を浴びるようになってきた。立ち上げから2年間は市全域を対象としていたが、3年目の今年からは、より地域性を高めていくために、範囲を区単位(中村区、中川区)に絞り、クリエイティブな空き家対策や外国人留学生との交流促進など、地域独自の課題解決を狙ったアイデアが出てきている。


ナゴヤをつなげる30人

町田は、地域コミュニティを支える地区協議会と、地元企業などがメンバーとして参加しているのが大きな特徴だ。町田に対する思いを共通項としながら、「地域の課題について知り尽くしている地区協議会」と「リソースを持ってる地元企業」とが出会い、対話を重ねることで、農業体験や芸術祭プロデュースなどの企画が生まれ、実現に向けて動きだしている。

観光産業イノベーション促進


広島と敦賀は、観光産業イノベーション促進の考えを起点にしながら、共に2021年から取り組みがスタートした。

広島は、もともと「京都をつなげる30人」の参加メンバーが「地元である広島でも開催したい!」と発起し、県の様々なステークホルダーと対話と検討を重ねてきた。その熱い思いに、広島県観光連盟(HIT)が「広島の未来のために絶対に必要」と共感し、結果としてHITが主催し、有料でメンバー募集も行う運びとなった。

観光連盟が主催はしているが、メンバーの大半は観光産業と無関係で、テーマも「広島の未来をつくる当事者を増やす」を中心に据えており、観光産業の活性化を前面に出しているわけではない。ただ、結果的は観光産業にイノベーションを起こすことに繋がっていくだろう。


ひろしまをつなげる30人

敦賀は、2024年春に北陸新幹線が延伸し、敦賀駅がその終着駅となることから、これまで以上に誘客への関心が高まっていた。一方で、コロナ禍も重なり、新しい観光PR事業の必要性が検討されていた。

そこで今年から始まった挑戦が、「敦賀をひろげるプロジェクト」だ。地元を愛するセクターを超えたメンバーからなるコミュニティ(「つなげる30人」)を形成し、まずは地元内のつながりを深めて機運を高め、市民主体の誘客企画づくりにつなげていく。まだ始まって間もないが、すでにメンバーが自主的にSNSを活用した広報を始動して、早速効果も出てきている。
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文=加生健太朗

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