渋谷から全国8カ所へ。まちづくりプログラム成功のカギとは

横浜をつなげる30人

企業、行政、NPOなど、クロスセクターでまちづくりをする──。2016年に渋谷で始まったプログラム「つなげる30人」は、2019年には名古屋と京都に広がり、2020年に町田と横浜、そして2021年には広島、長野、敦賀でもスタートした。

「渋谷をつなげる30人」の立ち上げ当初から国内での横展開を想定していたが、実際にやってみると多くのことが見えてきた。確信できたのは、どの地域であっても、セクターを越えた多様な30人が集まってプログラムを共にすると、同級生のような関係性が構築され、事業が推進されるということ。また、地域によって目的や座組のパターンが異なることもわかってきた。

今回は、8つの地域の「つなげる30人」の取り組みを紹介しながら、成果や課題、今後の展開等について論じていきたい。

主催者の違い、目的の違い


まず、「つなげる30人」の運営モデルは大きくわけて以下の2パターンがある。

1. 私が所属するSlow Innovation(以下、弊社)が自主開催する
2. 地域側が主催し、弊社が運営する

自主開催は、弊社の拠点がある渋谷と京都で行っており、今年で渋谷は6年目、京都は3年目。行政予算は入れず、参加企業から費用を集め、運営を行うのが特徴だ。モデルケースとなるよう、常に新しい手法、切り口でのプロデュースを心掛けている。

例えば、渋谷では区からの正式な協力も得て、区の基本構想「ちがいをちからに変える街」をより推進していくため、メンバーにスタートアップ企業、医療関係者、保育関係者、性的マイノリティの当事者、大学生等を招くなど、多様性を意識しながら新たな可能性を探っている。

京都は、そもそも市と「市⺠協働イノベーション推進の連携協定」を締結しており、「つなげる30人」の実施や「持続可能なまちづくりのコレクティブインパクト」などが項目に入っている。今年のプログラムは、脱炭素社会の実現に向けた「京都宣言」を受け、「脱炭素ライフスタイルのコレクティブインパクト実現」をテーマに展開した。


渋谷をつなげる30人

一方、地域主催の場合は、地域側が事務局業務やメンバー募集を、弊社が業務委託等でプログラム設計や現場でのファシリテーションを担っている。

行政が主催するケースがほとんどであるが、横浜では横浜市立大学、広島では広島県観光連盟(通称HIT)など、地域の民間組織が主催するケースも出てきている。

また運営面においても、弊社が単独で行うのではなく、長野では長野ITコラボレーションプラットフォームと、敦賀ではニューピースとグリーンズと共同運営をしているケースもある。

プログラムの目的は、大きく「地域コミュニティ活性化」「観光産業イノベーション促進」「地域イノベーション創出」に分類できる。
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文=加生健太朗

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