MooveのCEOのラディ・デラノは、アフリカ諸国では、多くの人が自動車を主要な移動手段としているが、自動車の所有率は欧米に比べてまだはるかに低いと述べている。
「車が主要な移動手段であるにもかかわらず、なぜ十分な数の車がないのか。それは、車を購入するための資金がないからだ。そこで私たちは、人々が必要としている資金を提供することにした」
Mooveは、ウーバーとの提携により、ナイジェリアやガーナ、南アフリカ、ケニアのドライバーに自動車ローンを提供している。従来の自動車ローンとは異なり、同社の顧客の返済は、仕事の量や収益に連動して行われる。
「当社は、配車サービスの車両のデータを用いてドライバーの生産性を評価し、ローンの審査を行っている。一般的な銀行のローンでは、パンデミックでロックダウン措置がとられたような場合でも、返済を続ける義務があるが、当社のローンの場合は返済を停止できる。ドライバーは収入がない期間も同じ車を所有し続け、仕事に復帰すると同時に、再び返済を開始する」とデラノは説明した。
この事業モデルは、もちろんMooveにリスクをもたらすことになる。特に、ロックダウンが長期化した場合には、借り手が長期間仕事をせず、返済が行われないことになる。同社の金利は10%から13%程度で、他の一般的なローンよりも低く、60ヶ月という長期間に渡って利用が可能という。
デラノによると、昨年の事業開始以来、Mooveが融資を行った車両では140万回の乗車が行われたという。また、同社から融資を受けた車両の約60%は、EV(電気自動車)やハイブリッド車両だという。
Mooveは最近、ケニアの物流企業のLoriと提携し、トラックドライバーへの融資を開始した。トラックの台数が増えれば、輸入品に頼るのではなく、国内の物流をより効率的に行うことが可能になり、その結果、道路インフラへの投資が促進されるとデラノは述べた。
Mooveは、8月のLeft Lane CapitalとSpeedinvestが主導したシリーズAラウンドで2300万ドルを調達した。
「アフリカで事業を拡大し、オペレーションを整備することで、世界の新興国市場に進出することを視野に入れているが、現時点でまずアフリカでの事業に注力する」とデラノは語った。