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2021.11.25

出前館が席巻するフードデリバリーのローカライズ 顧客の期待を超える「CX」は、どう生み出されるのか

左:出前館代表取締役社長 藤井英雄 / 右:ベイカレント・コンサルティング常務執行役員CDO 則武譲二

「顧客体験(CX)」と「社員体験(EX)」を高めることで急成長を遂げている、フードデリバリー大手の出前館。ベイカレント・コンサルティングの則武譲二が出前館代表取締役社長の藤井英雄に話を聞き、同社のCX施策に迫った。


ベイカレント・コンサルティングは、DXを「デジタルテクノロジーを活用し、従来のやり方を抜本的に変革すること」と定義し、「顧客体験(CX)」と「社員体験(EX)」を進化させる取り組みであると主張する。それを高度に実践しているのが出前館だ。コロナ禍でフードデリバリー市場が急拡大するなか、同社も大きく売り上げを伸ばしている。ベイカレント・コンサルティング常務執行役員でデジタル・イノベーション・ラボ室長でもある則武譲二が、出前館代表取締役社長の藤井英雄に、CXとEXを向上させるための要諦を聞いた。

差別化のポイントは日本ローカライズ


則武譲二(以下、則武):コロナ禍により、フードデリバリーを利用する人が増えましたが、現状をどうとらえていますか。

藤井英雄(以下、藤井):2017年頃から顧客体験が大きく変わりました。それまでデリバリーをやっていなかったお店に注文ができるようになったのです。私は昨年、社長に就任してから「デリバリーの日常化」を言い続けてきましたが、実現しつつあることを実感しています。

フードデリバリー利用者が増えているのは、価値観の変容も影響していると思います。最近では仕事の忙しい方や子育てでなかなか外食ができない方などタイムパフォーマンスを求める層が増えており、顧客体験上、とても重要な要素だと考えています。

則武:出前館には長い歴史がありますが、ここにきて事業スケールが大きくなっています。一方で市場の拡大とともに、競争は激しくなっています。Uber Eatsをはじめとした多くの海外勢に対し、どのように差別化していくお考えでしょうか。

藤井:他社と差別化するには、ローカライズが非常に重要だと思っています。海外発のサービスは日本の加盟店ニーズやユーザーニーズに合わせてカスタマイズするのが難しい。そこを我々は強化しています。

則武:ローカライズは日本発の御社ならではの強みとなりますね。具体的には、どういった取り組みをされているのでしょうか。

藤井:最近ですと、ユーザーレビューに関して大きなアップデートを実施しました。普通のECでは、レビューを見て購入する人が2人に1人はいるといわれています。

則武:ユーザーレビューという観点では、日本人には食べログの存在が大きいですが、違いとして意識していることはありますか?

藤井:フードデリバリーの場合、店で提供しているメニュー写真と実物があまりに違うようでは、顧客体験が低下してしまいます。我々は、フードデリバリーを注文したユーザーがレビューを書き込み、写真をアップロードできる機能を実装することで、期待値と実際に届いたものとの間にギャップが生じないようにしています。

則武:ほかに他社との差別化のために行っている施策はありますか。

藤井:お店専用のデリバリーサイトを作成できるサービス「DeDirect」を8月に開始しました。かなり多くの問い合わせをいただいており、約1カ月半で、6,000店舗以上が導入しています。加盟店からは、自社のSNSやポップなどで獲得したお客様は、自社でデータを管理したいという根強いニーズがありました。それに応えるためのサービスです。加盟店が独自に顧客へアクションできるので、イートインやテイクアウトなどの宣伝も可能になります。

則武:出前館ではなくお店専用のサイトを利用する顧客は、日常的に使ってくれるヘビーユーザーである可能性が高いと思います。DeDirectを利用することで、そのような顧客の体験はどのように変わっていくのでしょうか。

藤井:日常的にその飲食店さんを使っていて、さらに自社サイトにも登録してくれるヘビーユーザーですから、店舗のピンポイントの情報を知りたいはずです。DeDirectは、飲食店と顧客との結びつきをさらに強くできるサービスとなるのです。

配達プラットフォームをさまざまに活用


則武:さまざまなフードデリバリーサービスがあるなかで出前館は、配達員の質の高さに定評があります。

藤井:配達は顧客体験の重要なファクターなので、教育や研修を受け、合格した人だけが配達員になれる仕組みを構築しています。最後に行き着くのは接客であり、デジタルではできない人と人の部分です。「デリバリーの日常化」を果たすうえでも、配達品質は決して妥協できません。

則武:一方で、まだ群雄割拠の業界ですから、質を犠牲にしてでもシェアを取りにくる競合も多いでしょう。そんな競合も含めて配達員の方が複数サービスをかけもちしている状況もあると思います。御社は配達品質を維持できるのでしょうか。

藤井:現在の日本は多くのサービスが乱立しているので、配達員のかけもちは仕方のないことです。しかし、いずれ始まる淘汰のなかで、出前館は質を譲らず、価格面でも踏ん張っていきます。そして、おのずと増えていく専業配達員をしっかり教育し、稼ぎとしても還元していく。さらに稼いでいただくために配達するものを増やしていくことも重要となります。そのためにZHDとアスクル社と協働で日用品を配送する実証実験を始めています。フードと日用品は注文が集中する時間が異なりますので、配達員の仕事を増やすことが期待できます。このような取り組みで、業界全体を健全に発展させていきたいと考えています。

則武:我々は、顧客の期待を超えることが真のCXだと考えています。お客様の期待をさらに超えるために、考えておられることはありますか。

藤井:置かれている環境によってフードデリバリーの使い方が違うことは、データからわかっているので、お客様のニーズに合わせてカスタマイズしていくことが重要です。タイムパフォーマンスが重要なお客様もいれば、2時間待ってでも高級料理を食べたいお客様もいます。顧客体験はエリア特性も関係してくるので、そこにしっかりアジャストしていくことを考えています。

則武:出前館の取り組みの行き着く先には、広義の配達サービスの一部が、新しいサービスに置き換わる世界があるのだと感じました。御社はどのような世界を見据えていらっしゃるのでしょうか。

藤井:大きな世界観で申し上げると、配達時間が短い領域を、我々のサービスで再構築していると言えます。出前館とDeDirectは横並びのサービスで、その下に配達プラットフォームがあります。それを生かし、フード以外のものも配達していきます。これは「クイックコマース」と呼ぶもので、即時配達にマッチするサービスが、我々の配達プラットフォームに接続されるエコシステムをつくる。これが、我々の最終的に目指す方向なのです。


藤井英雄◎出前館代表取締役社長。2006年に楽天に入社し、15年に楽天マート取締役に就任。16年にLINEに入社。同社執行役員、LINE O2Oカンパニー CEOなどを経て、20年6月より現職。日本フードデリバリーサービス協会の設立に尽力、理事を務める。

則武譲二◎ベイカレント・コンサルティング常務執行役員CDO、デジタル・イノベーション・ラボ室長。主に全社・事業戦略の策定、新規事業の立ち上げなどのテーマに従事。著書に『戦略論とDXの交点』(共著、東洋経済新報社)などがある。


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Promoted by ベイカレント・コンサルティング / text by Fumihiko Ohashi / photographs by Shuji Goto / edit by Akio Takashiro

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