出社でもリモートでもハイブリッドでもない。働き方の「第4の選択肢」

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まず、クライアントありきの仕事では、「これは対面で話したほうがプロジェクトがうまくいく」「先方がオンラインを希望している」などの理由により働き方を決めるもので、これは誰も否定しないところである。

自チームに合わせて決めるとは、チーム単位で出社かリモートかを決めるということだ。例えば、普段の定例ミーティングは、リモートで十分対応可能だが、チームビルディングを目的としたミーティングは対面のほうがよいなどである。

最後は、自分に合わせて決める。これは、子どものお迎えがあるからリモートにする、家の工事がうるさいから出社するなどのケースである。リモートに関しては、端的に言えば、プライベートの用事があるからというもので、これは多くの人がまだ抵抗感があるのではないかと思う。場合によっては「さぼっている」というレッテルを張られてしまう可能性もある。


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もちろん、現実はすべての軸の掛け合わせできまる。保育園のお迎えがあるからリモートにしたいが、緊急性の高いクライアントとのプロジェクトで出社もしたい。どうにか両立できないかといった具合である。

30分のために、1時間の通勤は必要か?


例えば、あなたがチームのリーダーだったとする。今日は30分の定例ミーティングがある。このミーティング以外はどこでもできる個人での業務しかないメンバーが、下記の理由でリモート参加したいと言ってきた。あなたはどこまで許容するだろうか?

・PTA会議への出席
・通院
・ジム
・夜見たい番組があり出社すると見られない

テレビのために出社しないことに抵抗感がある人はいるかもしれないが、では、30分のために1時間かけて出社する労力は本当に必要だろうか?

私は現職も含め、前職でも、完全性善説の会社、チームで働いてきた。つまり、自分の都合も含めて、働く場所は自分で決めることができた。よく「そんなことをしたらさぼる人とかでてこないのか?」と聞かれたが、そういう状況を一度も見たことがない。むしろ人事として考えなければならなかったのは、どうやって働きすぎないようにするか、ということだった。


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もちろんそのためには目標をクリアにすることが大事で、後は信じて、働き方は自由に任せるということだ。信じられた人が、クライアントやチームに迷惑はかかるけれど、なんとなくリモートにしたいから出社しないということは起こらない。もしそういうことが起こればそれは採用ミスである可能性が高い。

新卒社員が多い組織、中途社員が多い組織など、状況によって判断すべきことは沢山ある。ただ、制限のあるハイブリッドはむしろ社員のやる気をそぐことにもなりかねない。一方で信じて任せるという自由がもたらす力はかなり大きい。自由にしても出社する人のほうが多いかもしれない。自分で選択をするということの中にこそ、強い責任感がうまれてくるのである。

コロナ前であればインフラが整っていないという理由があったと思うが、一定のインフラができた今、選択肢を広げることも重要なのではないだろうか。

文=西野雄介

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