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2021.11.15

大物でなく「本物」を生む。起業家の挑戦を支える社会へ


経験がなくてもトライできる環境を


社会問題ビジネスで解決しようとするソーシャルビジネスは、その特性上、短期的にリターンが得られないケースが多く、志半ばで事業をたたんでしまう起業家をたくさん見てきました。

「社会問題を解決しよう!」と志した人がつぶれていくのは、とてももったいない。大きな社会的損失です。社会の課題を見つけた人が、十分な経験がなくてもトライできる環境をつくっていくことを目指しています。

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そのためボーダレス・ジャパンは、組織としてペイシェントマネーを生み出す仕組みをつくっています。ただ、資金面の課題が解決したら事業がうまくいくかというと、それは別の話です。「想い」は強いけれど、スキルが不足している起業家もたくさんいます。そこで我々は、伴走機能もセットで用意しています。

近年は、ソーシャルビジネスの投資先を探している投資家や金融機関も少しずつ増えてきていますが、社会起業家側のプレーヤーが不足しています。当社ではプレーヤーをさらに増やし、投資家とつなぐ役割も担っていけたらと考えています。

社会人に「週末起業」をすすめる理由


そうした未来を担う社会起業家たちをいかに生み出すか。インクルーシブ・キャピタリズムの観点から言えば、ダイバーシティは「自分らしくいる人」が集まった時に成り立つものであり、まずは「みんな違ってみんな良い」状態をつくることからだと考えます。

ビジネスパーソンの中には、組織への文句が口をついて出る人もいると思います。しかしそれは、組織に依存してしまっているからこそではないでしょうか。逆に言えば、組織に依存しなければそんなに文句は出ないものだと思います。

時々「実現させたい企画があるけれど、会社が通してくれない」という話を聞くことがあります。そうした組織に対するフラストレーションがあるのであれば、自分で始める方法もあります。

僕自身は「実現させたい企画がある人は、週末起業をやったほうがいい」と本気で思っています。会社をつかってできることは会社でやり、できないことは個人でやる、という方法です。

週末起業が軌道に乗ってきたら、その事業1本に絞ってもいいし、会社勤務と並行して続けても良い。気心の知れた2〜3人でつくるマイクロカンパニーであれば、文句も出にくく、心情面でも良い状態を保ちながら仕事ができます。
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文=小谷紘友 取材・編集=田中友梨 撮影=山田大輔

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