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米国のフードデリー企業「ドアダッシュ(DoorDash)」は11月9日、フィンランドの同業のウォルト(Wolt)を80億ドル(約9120億円)相当の株式交換で買収し、海外市場でのシェア拡大を目指すと発表した。

2013年にスタンフォード大学の学生グループが設立したドアダッシュは、ソフトバンク・ビジョン・ファンドやセコイア・キャピタルなどの支援を受けて事業を拡大し、昨年12月にIPOを実施した。調査会社カーディファイによると、ドアダッシュの米国での市場シェアは昨年11月時点で36%で1位だった。2位のポストメイツのシェアは33%だった。

ドアダッシュは、米国やカナダ、オーストラリアで事業を運営し、今年6月には日本の仙台市にも進出したが、今回の買収により、ウォルトが進出済みのベルリンや東京、東ヨーロッパなどの市場を含む23カ国に進出し、ウォルトの4000人以上の従業員を吸収する。このニュースを受けて、ドアダッシュの株価は9日の時間外取引で24%上昇した。

買収プロセスは2022年上半期に終了し、ウォルトの創業者でCEOのミキ・クーシは、ドアダッシュのトニー・シューCEOの指揮下で国際部門を率いることになる。日本を含むウォルトが進出済みの市場では、引き続きウォルトのブランド名が維持されるという。

フォーブスの「30アンダー30」の卒業生であるクーシは、ドアダッシュとウォルトには多くの共通点があり、互いに理解し合えると述べている。

今回の動きにより、特に、欧州におけるフードデリバリー市場の覇権争いが激化することになる。

英国のデリバルー(Deliveroo)、オランダのJust Eat Takeaway、ドイツのデリバリーヒーロー(Delivery Hero)、スペインのGlovoらは、フードデリバリー分野で米国のウーバーイーツとの対決を続ける一方で、スナックや飲み物を10分以内に発送するファストグロサリー分野への進出を加速させている。

ファストグロサリー市場には、すでに多くの資金力のある新興企業が揃っており、ソフトバンクの支援を受ける米国のゴーパフ(GoPuff)は英国のDijaとFancyを買収し、欧州に進出しようとしている。

さらなる買収の可能性


ドアダッシュは、関係筋によると、デリバルーやJust Eat Takeawayとの合併の可能性についても協議していたという。デリバルーは、3月末にロンドン証券取引所に上場したが、株価は低迷している。また、Just Eat Takeawayは、アクティビスト投資家のCat Rock Capitalから、昨年6月に買収した米国のグラブハブ(GrubHub)の売却を迫られている。

ジェフリーズのアナリストのジャイルズ・ソーンは、大手企業の後を追って事業を立ち上げ、人件費が高いヘルシンキでビジネスモデルを確立したウォルトを高く評価している。

「ウォルトは、当初の誤った予測では失敗する運命にあったが、大きな成功を収めた。彼らは後発でこの市場に参入しながらも、テクノロジーを活かして、優れたエクスペリエンスを消費者に提供している」と、ソーンは顧客向け資料で述べている。

編集=上田裕資

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