定型的なやりとりの99%をマッピング
イニフィニタスは、ジェインと、最高技術責任者(CTO)を務めるシアム・ラジャゴパラン(35)が2019年に創業した。ふたりはサンノゼの中学校で出会い、カリフォルニア大学バークレー校ではルームメートの仲だった。卒業から数年後、グーグルでも同僚になり、ジェインはアプリストア「Google Play」の検索・発見を、ラジャゴパランはセキュリティー・コンプライアンスチームでグーグルのログインシステムをそれぞれ担当していた。2013年にともにグーグルを退社してモバイル分析企業を立ち上げたが、この企業は数年後に買収されている。
再び共同で設立したイニフィニタスで、ジェインとラジャゴパランはお互いのエンジニアリングとAI(人工知能)のスキルを組み合わせて、医療分野の自動化に取り組んだ。そうして生まれたのがエヴァだ。
アマゾンの「Alexa」やアップルの「Siri」、グーグルの「Google アシスタント」を第1世代の技術とすれば、今では音声認識と自然言語処理の進歩によって、ロボットは簡単な質問に答えるだけでなく会話もできるようになっている。エヴァは、ケーブルテレビ会社や電力会社、クレジットカード会社などが採用しているぎこちない音声応答システムと異なり、企業間のやり取りに特化している。ジェインによると、企業間の電話の内容は非常に定型的で、インフィニタスでは「そうした会話のパスウェイ(経路)の98.99%をマッピングした」という。
ジェインはエヴァについて、医療保険給付の確認に続いて保険金請求の処理や拒否、患者へのリマインダー通知といったさまざまな種類の電話をこなせるようにしたいと考えている。またインフィニタスとしては、外来手術センターや医療収益サイクル管理会社など、新たな顧客を開拓していく方針だ。顧客側はいずれ、ロボットに電話以上のことを求めるようになると予想されるからだ。
ジェインは「わたしたちの旅の次の段階では、エンド・ツー・エンドのプロセス・オートメーションという約束を果たしていきたい」と述べ、その意気込みをトイ・ストーリーのバズの言葉を借りてこう表現した。「無限の彼方へ!」