メカ好きにとっては堪らない1本

照明器具メーカー、オーデリックの伊藤雅人社長が、ジャガー・ルクルトの「デュオメトル・クロノグラフ」を語る。


店舗、施設向けの大がかりなものから家庭用のシャンデリアや蛍光灯に至るまで、幅広く照明器具を扱う「オーデリック」の社長、伊藤雅人が、数ある自身のコレクションのなかから、紹介してくれたのがジャガー・ルクルトの「デュオメトル・クロノグラフ」であった。

「複雑な動きをするものが好きなので購入しました」というこのモデルは、5時位置と7時位置に開口部が設けられ、美しい装飾が施されたムーブメントの一部をダイヤル側から見ることができる、メカ好きにとっては堪らない1本である。

そしてこの時計は伊藤氏にとっては、好きな腕時計を手に入れただけではなく、ジャガー・ルクルトに興味をもつキッカケとなったモデルでもある。

「この“デュオメトル”が好きになってからは、カタログを取り寄せて読むようになりました。ジャガー・ルクルトが古くから複雑な時計をつくっていることや、アストンマーティンにメーターを提供している、といったことも知りました。アストンマーティンには、スミス社など英国製のメーターが付いているものだと思っていましたので、ジャガー・ルクルト製と知り、大変興味深い発見でした」

メカ好きという伊藤氏らしいお話である。それは時計選びにも表れている。

「ジャガー・ルクルトは、精密な機械に加工を施した時計が主体というところが好きです。もちろん、美しい時計も、女性が好むきらびやかなものもありますが、僕はケース素材等は二の次で、どうしてもメカ、機構の部分に引かれてしまいます」

また、彼が選択するモデルは、実用的なものが多いという共通点もある。最初に購入した腕時計もGMT機能付きということだった。照明器具を扱う会社を率いているだけに、実用性ということが常に頭にあるからだろうか。

そして最後に、時計の起源である日時計の話題から、光と時間についての話をしてくれた。

「時計は太陽の光と影の長さから始まりましたよね。照明器具においても、時間とともに光と影が変化する点は非常に重要です。まず朝と夕方では明るさが違うことから、現在では照明器具も時間によって明るさを自動で調節できます。さらに、昼間になると太陽の光が白っぽくなるので、それにあわせて照明器具でも色温度を変更するという研究も進んでいます。光の加減次第で、人の活動が活発にも安静にもなるので、光と時間を組み合わせ、人間がいかに心地よい空間で過ごせるか、ということを常に考えています」
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text by Ryoji Fukutome | illustration by Adam Cruft | edited by Tsuzumi Aoyama

この記事は 「Forbes JAPAN No.087 2021年11月号(2021/9/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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