タランティーノがNFTで変える映画業界
タランティーノ監督のNFT販売の仕組みは以下の通りだ。
パルプフィクションの未公開7シーンをそれぞれNFT化する。それをオークションにかけてファンが入手できるようにする。入手した人はその未公開シーンを自分だけの秘密として取り扱うことも、パブリック公開する公開先も自分で選択できる。いままでエージェンシーなど一部の人間が未公開シーンの権利を扱い、再販ルートを作り販売していたものを、誰でも入手できる仕組みにし、作品の公開方法も自由に選べるようにするので映像コンテンツの流通も変わる可能性がある。監督と作品がファンと直接つながる脱中央集権型の仕組みが映画業界でも起きてきそうである。
タランティーノ監督は「いままでだと未公開シーンの台本などは、美術館のガラスケースのなかで展示されるだけだったが、それをNFTとしてファンとともに盛り上げていけるのはとてもグルーヴィーだ」と語る。クリエイターにとってNFTにするメリットはファンと直接つながることができる、ミドルマン(代理店など)が不要になるという点にありそうだ。
NFT世界のキーワードは「コミュニティ」
カンファレンスに参加して頻繁に出てきたキーワードの一つが「コミュニティ」だ。NFTに限らずブロックチェーンを活用したネットワークでは誰が・いつ・何をしたのか? が透明になるので、トップダウンの命令が不要になる(自律分散型)。その中で大事になるのがコミュニティを自ら育てていく意識だ。誰かが作ってくれるコミュニティではなく、自分自身も参加することにより作り上げるコミュニティという意識。
NFT.NYCカンファレンスは5500人の参加者がお互いに知識を交換しあい、一緒に育っていくコミュニティとも言える。Polygonと言われる新たな環境の勉強会もあるし、横に座った人ともお互いのNFTへの関わり方を共有しながら学び合う。登壇者も例外ではない。ウィキペディアの創設者ジミー・ウェールズは、ウィキペディアのドネーションの仕組みをNFT化する際にどういう方法があるのか?一緒に考えてもらいたいとステージ上から訴えかけ積極的に会場とQAを繰り返す。
「SATOSHI NAKAMOTOについて最初に書き込まれたものをNFT化するのはどうだろう?」「ウィキペディアを支えるNPOの活動をNFT化するのはどうだろう?」「DAO的な組織はウィキペディアにも当てはまるのだろうか?」などなどアイディエーションが積極的に進んでいく。