シェンは、今後の中国で有望な投資領域の1つとして、エンタープライズ・テクノロジーを挙げる。「中国の経済規模や、デジタルエコノミーの普及度を踏まえると、エンタープライズ・テクノロジーの成長可能性は莫大だ」と彼はメールで筆者の質問に答えた。
中国の2019年のEコマース売上は、欧州と米国の合計額を上回り、拼多多やアリババなどの企業が大きな利益を上げた。Statistaによると、中国のデジタルバイヤー人口は7億人と、世界最大だ。
しかし、エンタープライズ・テクノロジーでは米国が中国をリードし、セールスフォースやTwilio、ワークデイ、Coupaなどの企業は、投資家に大きな利益をもたらした。
「コンシューマ向けインターネットに比べると、エンタープライズ部門で中国は米国に大きく遅れている。中国にとって朗報なのは、優秀なエンジニアが豊富で、その多くがコンシューマ・テクノロジー出身者であることだ。彼らは、使い勝手の良い製品を開発するノウハウを持っている。企業の意思決定者も、エンタープライズ・テクノロジーに精通しており、製品の必要性や使い方について説明する必要がない」とシェンは話す。
中でも、クラウドサービスの成長性は特に大きいとシェンは考えている。「中国では、クラウドサービスを導入している企業がまだ少ない。PaaS(Platform as a Service)やSaaS(Software as a Service)を導入すれば、効率性の向上やコスト削減を図り、市場機会を拡大させることが可能だ」
セコイアチャイナの、アーリーステージの投資先には、北京本拠の「Cloudwise」が含まれる。Cloudwiseは2009年の設立で、ITのオペレーションやサービスマネジメントを支援する製品を開発している。シェンによると、同社はこれらの領域にAIを導入しているという。