美容と選挙と「女性議員が少ない」日本の未来

美容業界は圧倒的に女性が多いといわれるが、意思決定する経営幹部には少ないのが実状である。国際的な流れに押される形で「ジェンダーギャップ」だ「女性進出」だといわれているが、日本の現状をわかりやすく示したのが、先の衆議院選挙だったのではないか。

女性は衆議院の定数465人中45人で、全体の9.7%。10%を下回っている。先進国だけでなく、世界的に見ても相当低い比率である。

立候補者の数でも見てみると、全国で1051人が立候補したうち、女性は186人だった。17.7%だ。どの政党も「女性進出」と声高々にうたうなら、最低限女性の立候補者を全体の半分くらい立てないと、先進国の平均にもたどり着かない。

世界の政治議員の数などを追っているIPUという団体の最新報告では、日本はG7でも最低、二院制議会をもつ国の中でも100位にも入れていないほど女性議員がす少ない。女性比率が高いのは、スウェーデン、ノルウェーなどのスカンジナビアで、その後ドイツやフランスがランクインしている。


スウェーデン社会民主労働党党首のマグダレナ・アンデション党首(Getty Images)

立候補する女性を増やすのが、日本にとってそんなに難しいのか。何が原因で女性議員の立候補者がいないのか。なぜ、女性の立候補者がまわりでどんどん出てくる社会ではないのか。

女性議員には官僚あがりの人、銀行あがりの人なども多勢いるが、男性議員と比較すると、アナウンサー議員やタレント議員が目立つ。

美容業界は女性労働人口と密接に絡んでいるので、ぜひ“元美容議員”が進出してほしい。そもそも美容業界は労働人口が非常に多い。国家資格となる美容師だけで45万人、エステやネイル、美容部員、アロマセラピスト、美容看護、理容師を含めたら、150万人以上いると推定されている(ネイルやマツエクは国家資格ではないので、細かい人数が確定できない)。美容室の数がそもそも、全国にある蕎麦屋や寿司屋の数より多いのが日本の社会構造である。
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文=朝吹大

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