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2021.11.12 08:00

日本のプロスポーツ史上初の「上場」で中城村から新たな地平を開く


「日本の卓球競技人口は約120万人、温泉卓球なども含めたレジャー人口で800万人といわれていますが、世界では3億人の競技人口がいる。僕は九州・沖縄を代表するチームとして、アジアや世界にチャレンジしていきたい。そう考えるとQ-Boardでの上場は外せません」

IPOアドバイザーをなりわいとする早川は、投資を通じて、スポーツの社会的価値向上を目指す。

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ホームタウンである中城村は沖縄本島の東側に面しており、那覇市と沖縄市の間に位置する。那覇からは車で約40分。人口増加率は全国3位で、県外からの移住者も増えている。

「これからの時代はPER(株価収益率)では測れない、利益や振り幅ではないインパクト投資が拡大していく。このインパクト投資をスポーツ産業に呼び込むことで、スポーツの価値向上につなげたいと考えています」

成長著しいアスティーダに、大企業も目をつけないはずがない。京セラとは今年2月から共同事業を進めており、アスティーダの選手が、京セラが開発した「3軸水晶ジャイロセンサモジュール」を活用した実証実験(POC)に参加している。卓球の高速スイングを計測し、数値化することができるシステムで、競技人口が急増しているインドやアフリカなどグローバル市場での実用化も視野に入れているという。

本拠の沖縄では、浦添市に新しいアリーナの建設を進めているほか、12月には「アスティーダフェス」として日本最大級のスポーツイベント開催も予定している。

ビッグビジョンを推進するアスティーダだが、本社はいまも、中城村の家賃4万8000円のアパートの一室だ。

「これは僕のこだわりです。地方都市どころか、人口約2万人の村からでも上場できるということを、ここ中城村で証明したいんです。それが県全体、ひいては国全体に波及していくでしょうからね。資本の原理からも、光があたっていない場所に光をあてていきたい」

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早川周作◎1976年生まれ。大学卒業後、元首相の秘書を務め、28歳で国政選挙に出馬。IPOアドバイザーなどを経て2018年、琉球アスティーダスポーツクラブを設立し、代表取締役に就任。21年3月に株式上場を果たす。同年4月、子会社の九州アスティーダを設立。

文=上野直彦 写真=平岩 亨

この記事は 「Forbes JAPAN No.085 2021年9月号(2021/7/26発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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