スワッグは2016年にニューヨークで創業。以来、売り上げを年々倍に伸ばしており、今年は3000万ドル(約34億円)に達する見通しとなっている。バージニア州フェアファックスに本社を置くカスタム・インクのほうが会社の規模ははるかに大きく、年間売上高は約5億ドル(約560億円)にのぼる。
買収額は公表されていないが、両社によるとスワッグのオーナーらは現金とカスタム・インク株の両方を受け取った。スワッグはカスタム・インク内の別個のブランドとして存続し、共同創業者のジェレミー・パーカーとジョシュ・オーバックが引き続き率いる。
カスタム・インクはこの買収により、デジタルに精通し、「サービスとしての贈り物」というビジネスモデルによって販促用品業界をディスラプト(破壊)しているスワッグと組めることになった。また、誰もが欲しがる「Swag.com」というドメイン名も利用できるようになった。
カスタム・インクの共同創業者であるマーク・カッツ最高経営責任者(CEO)は今回の買収について、「わたしたちが会社と顧客のために成し遂げたいと思っていることの中核をなすもの」だと説明。スワッグについては、たんに製品をデザインして注文するのではなく、カスタム製品のデザインや注文、保管、共有、配布といったもろもろをわずか数回クリックするだけでできる「破壊的なソリューション」を生み出したと高く評価している。
一方、スワッグ側は、より大きな企業に加わることで成長をさらに加速できると考えている。「単独でつくれるものよりも、一緒につくるもののほうがずっと大きなものになるはずです。たいへん大きな成長余地があると感じています」(パーカー)
カスタム・インクによると、ノベルティーの市場規模は1000億ドル(約11兆円)を超える。ただ、これには、企業ロゴは必ずしも入っていない高級な贈答品も含まれる。
ノベルティーというと以前は展示会のギフトや店舗の周年記念などのイメージが強かったが、近年はとくにデジタルネイティブのブランドやテック系スタートアップなどが、ブランド名を広めたり、従業員の士気を高めたり、リモート勤務者らにチームの一員であることを感じてもらったりするための手段として活用するようになっている。