フェムテックヘルスのアンジェリデスは、「この業界の問題は、他の企業もみなそうなのだが、エンゲージメントや関係の構築ができていなかったことだ。単なる購入になってしまっていた」と指摘する。
バーチボックスなどの企業は、顧客とより緊密な関係を構築することを狙ってパーソナライゼーションを推し進めている。米国で最も成功したサブスクサービスであり、410万人のアクティブ顧客を抱えるファッション関連サブスクのスティッチフィックスは最近、購入プラットフォームを未登録者にも開放し、買い物客がお気に入りのスタイルをすぐに見つけられるパーソナライゼーションエンジンの実力を披露した。
スティッチフィックスの元最高執行責任者であるジュリー・ボーンスティーンが立ち上げた別会社ジ・イエス(The Yes)も、メイドウェル、アローヨガ、ヴァレンティノなどのアパレルブランドに対して、パーソナライズされたレコメンデーションサービスを提供している。
AIを使いマッチングを強化
フェムテックヘルスは、レコメンデーションエンジンを強化するため、ミラAI(Mira AI)というテック・スタートアップを2800万ドルで買収した。ミラAIは、データと人工知能を利用して、顧客の特性と、美容製品やコンテンツのマッチングを行っている。
例えばバーチボックスの場合は、皮膚水分量テストの結果に基づいて、オイリー肌用のフェイシャル・ローションを「おすすめ」に提示する、といった利用法が考えられる。
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ミラAIの共同創業者であり、これまでユニリーバ・ベンチャーズやカナンから資金を獲得してきたジェイ・ハックは、「仕事をより良く行うために役立つ情報を手に入れられるのは、本当にエキサイティングだ」と述べる。「個人の生活に入り込み、これまでよりずっと親密な関係を築く手段が、いきなり手に入ったようなものだ」
同社は、HIPAA(Health Insurance Portability and Accountability Act:医療保険の携行性と責任に関する法律)などの法規制に従って顧客の医療記録のプライバシーを守り、顧客データの販売は一切おこなわないとしている。