送金アプリ「Toss」を運営するビバ・リパブリカは、6月の資金調達ラウンドで、評価額74億ドル(約8350億円)で、4億1000万ドルを韓国産業銀行やニューヨークのAlkeon Capital Managementから調達していた。同社の出資元には、ペイパルやセコイア・キャピタル・チャイナ、シンガポール政府投資公社(GIC)なども名を連ねている。
2015年に送金サービスを開始したTossは、韓国の人口の3分の1以上の2000万人以上のユーザーを抱え、銀行や保険、投資などの金融サービスを提供している。
ビバ・リパブリカは今月末、韓国で配車サービス「Tada(タダ)」を運営するVCNCの過半数株式を取得する予定だ。
韓国の配車サービス市場は現在、メッセージアプリで知られる「カカオ」傘下のカカオモビリティが圧倒的シェアを誇っているが、2018年に始動したTadaは、200万人のユーザーを抱え、ユーザーの約90%がアプリを定期的に利用しているという。
今月初めには、SKテレコムがウーバーと協同で新たな配車サービスのウティ(UT)を立ち上げるなど、韓国の配車サービス市場の競争は激化している。
しかし、ビバ・リパブリカの創業者でCEOのイ・スンガンは、フィンテックアプリのTossと配車アプリのTadaの組み合わせでシナジーを生み出し、エコシステムを強化できると考えている。
現在39歳のイは、東南アジアで配車サービスと金融サービスを組み合わせて「スーパーアプリ」と呼ばれるようになったGrabやGojek(トコペディアとの合併でGoToに改称)の成功に例に挙げ、「モビリティのデータは、彼らのビジネスのカギを握っている」と述べた。
GrabとGojekは、まず配車サービスで成功を収め、そこで得られたクレジットスコアを活かして金融サービスや保険サービスに乗り出した。例えば、顧客の評価が高く、他のドライバーよりも多くの乗車を完了させたドライバーは、有利な条件のローンや保険契約を提供される。
「配車サービスのデータは、Tossのファイナンスのエコシステムの強化に大いに役立つことになる」と、イは話した。
「当社は、ユーザーの行動やライフスタイルの変化を注意深く観察している」と話す彼は、将来的に、モビリティや金融以外の領域への進出も視野に入れている。