慢性的人不足の救世主、ファミリーマートに出現した新型ロボットとは

AIシステムを導入したロボット「TX SCARA」


──遠隔ロボットの技術面とデザイン面については、どのようなお考えなのか。

佐野:技術チームは、20~25人の精鋭で開発しています。これだけの少人数で、ハードウエアからクラウドシステムまで、一貫して自社で作っているのが強味です。今回発表したロボット「TX SCARA」は、我が社独自で開発したAI「GORDON」搭載によって、店舗の過去の販売実績データを学習します。これらのデータを生かして、時間帯や季節によって変化する商品の売れ筋に合わせて、遠隔ロボットが陳列のタイミングを最適化します。

──スタイリッシュでかわいらしいデザインとお見受けしました。

富岡:気がつかれましたか(笑)?実は、ボディの色は、最後まで白か黒かで迷っていました。毎日使う&多くの店舗で導入されるものだから、清潔感のある「白」に決めたのです。カメラのフレームは、ゴールド。横には、小さく会社のロゴをアクセントとして、デザインに施しました。

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スタンフォード大学経営大学院修了後、三菱商事勤務を経て、テレイグジスタンスを設立した富岡仁

続いて行われた共同プレス発表の冒頭では、ファミリーマート代表取締役社長・細見研介によって口火が切られた。「今年、ファミリーマートは、事業開始から40周年を迎えます。『あなたと、コンビに、ファミリーマート』をキャッチコピーにしておりますが、今回導入したロボットが、人とコンビになって、私共が取り組んでいる『ロボットフレンドリー』プロジェクトの一端を担うものだと確信しています」と語った。

テレイグジスタンスは、「ロボットを変え、構造を変え、世界を変える」をミッションに掲げている。マネージメントを担う富岡 仁にとって、小売業、なかでもコンビニエンスストアは、最初から狙っていたマーケット。世界で約37万台規模の産業用ロボットに対して、車は世界で年間約9千万台販売されている事から考えると、産業用ロボットは小さなマーケットといえる。

しかしながら、「これまで、工場の中でしか使われていなかったロボット機能を社会実装させていくのが、今回、ファミリーマートさんで導入された遠隔ロボットの使命だと思っております。スタートアップ企業だけでロボットの実走が出来るかと言ったら難しい。ファミリーマートさんと経済産業省さんとで実走に向けて進んでいけた事を感謝しています」という。

経済産業省が掲げる「ロボットフレンドリー」プロジェクトに、事業開始40周年のファミリーマートと、設立4年目のテレイグジスタンスがコラボレートする「人とロボットとの実走」は、スタートしたばかりだ。

取材・文・写真=中村麻美

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