メタバース時代、モーションキャプチャー技術に賭ける新興企業

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過去5年のあいだに、ストレッチセンスは技術の開発を続け、顧客数は28カ国の200スタジオ以上にまで膨らんだ。ストレッチセンスは、グローブ(手袋)に方針を転換して以来、開発を進めるための資金として900万ニュージーランドドル(約7億2800万円)以上を調達してきた。

その成果が、「モーキャップ・プロ(MoCap Pro)」という同社のグローブだ。このグローブには、指関節の曲がりと指の広がりを個別にキャプチャーするマルチセグメントの広がりセンサーが使われている。はめ心地のよい伸縮性のある生地でできており、洗濯機で洗える。バッテリー継続時間は8時間だ。

ストレッチセンスは、専用の統合ソフトウェアスイート「ハンド・エンジン(Hand Engine)」も開発した。これは、グローブと、人気のあるいくつかのアニメーションソフトウェア・パッケージを簡単につなぐインターフェースを提供するものだ。

「ゲーム会社やゲームスタジオは、いままさに未来を築いている最中です」とオブライエンは言う。「平均的な消費者は、そうした会社が、遠くないうちにすべてを変えることに気づいていません。VFX(視覚効果)会社は、メタバースや、そこにあふれるであろうコンテンツの開発で先陣を切っています。いずれは、VRでのトレーニングや会議のようなものにまで広がり、メタバースに関連した一般消費者向けのアイテムも開発されるようになるはずです」

「その次に来るのは、デジタル仮想空間で種々のアイテムを操作したり、コントロールしたり、影響を与えたりするための方法でしょう。別の国にいるパートナーがヘッドセットをつけ、あなたがしていることをリアルタイムで見て、手を使ってなんらかの変化を起こせるようになるのです。必要に応じて入りこめる仮想世界を構築できるわけです。再現度の高い『手』は、その世界に必要不可欠な要素になるはずです」

その実現に向けて、ストレッチセンスは引き続き、製品の継続的な改良に力を注いでいる。「当社のコア技術は、顧客ニーズと噛み合うと確信しています。そのニーズは、より多くのセンサーかもしれないし、より高速のデータ処理かもしれません」

「当社のグローブが、完璧なデジタル表現を生み出し、現実世界との違いをユーザーにまったく気づかせないまま、あらゆる動きをキャプチャーできるようになるまでは、当社の仕事が終わることはありません」

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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