セカンドライフの失敗に学ぶFB「メタバース」の危険な賭け

Justin Sullivan/Getty Images


VRヘッドセットは1日30分が限界


フェイスブックは、メタバースを現実のものとするために、どのような課題に直面しているのでしょうか。

初期のVRヘッドセットは、映像の遅延によって吐き気を催させる場合もあったが、マイクロチップの性能が向上したことで、グラフィックはかなり改善されている。しかし、どんなに高性能なヘッドセットでも、VR内のアバターの顔の表情は、ぎこちないものになりがちだ。もしも、私たちがメタバースに住むのであれば、アバターはもっと自然なものである必要がある。

さらに、スタンフォード大学のVR関連のラボの創設者で、ザッカーバーグに助言を与えたことで知られるジェレミー・ベイレンソン教授は、「30分ルール」と呼ばれる課題を提唱した。彼は、現代のテクノロジーでは、人々が一日にVR空間で過ごせる時間が、最大30分だと考えており、30分が経過した後はヘッドセットを外して、現実の世界とのつながりを取り戻す必要があると述べている。

しかし、フェイスブックがメタバースで、人々のネット利用時間のすべてに置き換えようとするならば、それは1日3時間以上に及ぶことになる。

ザッカーバーグはまた、人々にVRヘッドセットをつけることを納得させるために、魅力的なコンテンツを用意する必要があるが、ここで課題となるのは、どのような基準をコンテンツに適用するかだ。

この点について、VRの父と呼ばれるコンピュータ科学者で、現在はマイクロソフトの研究員を務めるジャロン・ラニアーは、「Dawn of the New Everything」という著書の中で、「VRは人類史上最悪の発明になる可能性がある」と述べていた。「フェイスブックと同様なビジネスモデルでメタバースを運営すれば、それは人間性を破壊するものになる」とラニアーは指摘した。

ザッカーバーグのメタバースへの旅は、またしてもコンテンツの適正化をめぐる問題に直面することになりそうだ。

編集=上田裕資

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