2021年版リストを担当した編集者のラナ・ウェフベ・ワトソンは、「アジア太平洋地域各地のビジネスウーマンは自分たちの障害となる壁を壊し続け、多くの場合、新型コロナウイルス流行が長引く中でも自社の事業を拡大している。フォーブス・アジアが今年まとめた影響力のあるビジネスウーマンのリストでは、テクノロジー、医療、金融、製造などさまざまな産業で適応と繁栄に成功した20人の傑出したリーダーが選ばれた。彼女たちは、コロナ後の現実と格闘する世界をリードする存在だ」とコメントしている。
リストには、大きな収益を上げている企業や、評価額が1億ドル(約110億円)以上のスタートアップの経営で成果を上げたリーダーが選ばれた。今年の20人は、全員が初めてリスト入りした。
襟川恵子は、夫の陽一と共に光栄(現コーエーテクモゲームス)を創業。それから40年の間で、同社を日本最大級のゲーム開発企業に育て上げた。今年6月には、ソフトバンクグループで唯一の女性社外取締役に就任。日本、香港、米国にコーエーテクモが保有する11億ドル(約1250億円)の資産を管理している。
端羽英子は、2001年に東京大学経済学部を卒業後、ゴールドマン・サックスに入社し、投資銀行業務を担当。しかしわずか1年後、23歳で子育てのために退職した。ストレスが多く、長時間労働の投資銀行業務と子育ての両立は無理だと感じたからだった。この経験から、女性の人生において一般的な出来事である出産・子育てのためにキャリアが制限されなければならないことに疑問を持った。
この疑問がきっかけで、2012年にビザスクを設立。同社は世界一の「ナレッジプラットフォーム」を目指し、企業と独立アドバイザーのマッチングサービスを提供している。利用者は、1時間の相談から大規模プロジェクトのコンサルティングまで、幅広い依頼できる。
小谷高代は今年6月、母・眞由美の後を継ぎ、ロボットメーカーであるユーシン精機の代表取締役社長に就任した。母は創業者の夫・進の逝去により、2002年に経営を引き継いでいた(現在は同社の名誉会長を務めている)。
小谷の経歴はロボットメーカーの社長にふさわしく、京都大学で工学の博士号、マサチューセッツ工科大学でMBAを取得。日立製作所と米コンサルタント会社を経て、2008年にユーシン精機へ入社し、社長に就任するまで研究開発部門を率いた。
「アジアで影響力のあるビジネスウーマン」20人の全リストはフォーブス英語版サイトで公開されている。