ジェンダーギャップを見つめ続けた女性投資家が越えた、「固定概念」の壁

SDGインパクトジャパン 小木曽麻里(撮影=小田駿一)


みんなで「ダンス」を踊れるか


女性の権利にとどまらず、多様性に焦点が当たるようになった昨今、社会は少しずつ変化している。とはいえ、女性はまだまだ社会のマイノリティだと感じざるを得ない場面もある。
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「平等と公正は違うとよく言いますよね。平等はみんな同じスタート地点からものごとを始めること。一方、公正はそもそもスタート地点が違う人たちと同じ場所で生きていくこと。

貧困に苦しむ人、さまざまな理由で十分な教育を受け入れられなかった人など、人はそれぞれ異なる地点からスタートします。その多様な人たちが、個々の能力を十分に発揮できるようにすることが公正であり、人権を守ることに繋がります」

女性活躍の推進を、経済的なメリットや売り上げの確保という目的だけに結びつけてはならないと小木曽は考える。個性を発揮して生きていくことは、同じ社会に生きる者として当然の人権だからだ。しかし、その実現まではほど遠い。

「徹底した自助努力を求められ、他者に頼ってはいけないという固定観念が強い日本は、そもそも多様性が嫌いなのかもしれないですね」

Netflixのインクルージョン戦略部門バイスプレジデントも務める社会活動家ヴェルナ・マイヤーズは、「ダイバーシティとはみんなをダンスに招待すること。インクルージョンとは、みんなとダンスを踊ること」と説く。小木曽もその考え方に賛成だという。

「マイノリティである女性をまずダンスに招待し、一緒にダンスを踊れるようにしなかったら何も始まらない。その一歩として、交わることから始めたいと思います。人口の半分を占める女性の活躍を起点に、マイノリティをボトムアップするいとぐちを掴みたいですね」

「固定観念の壁」に苦しむ人にどう声を掛けるかと問うと「自分自身がどういう人間なのかをまず知ること。そして自分らしさを発露していいと考えることではないでしょうか」と答えた。

「そのためには、できるだけ多様な価値観に触れること。そのうち、自分にとって大事な価値観が見つかっていくのではないかと思います。多様性とは、自分は他者と違っていいと認められること。周りに振り回されず、自分の大切にしたい価値観を信じられることです。それぞれがもっと自由に、信じる道を進んでゆけばいいと思います」

文=石川香苗子 写真=小田駿一 編集=松崎美和子

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