ジェンダーギャップを見つめ続けた女性投資家が越えた、「固定概念」の壁

SDGインパクトジャパン 小木曽麻里(撮影=小田駿一)


自分は「固定観念が強いんだ」と意識する


世界銀行に11年ほど勤めた後、2016年に笹川平和財団へ移った小木曽は、2019年にファーストリテイリングの社長室部長として、ダイバーシティの推進を担った。そのときも、まず多様なメンバーでチームを編成することを意識したという。
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「私にはわからないことがたくさんあります。だから、なるべくそれぞれ違った背景やアイデンティティをもつ人を採用したい。障がいのある方、LGBTQの方などにもジョインしてもらって、いろんなことを教えてもらいました」

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かつて憧れた多様性を体現するような生き方をしている小木曽。しかし、どうしても規範意識の強い日本で培われた「思い込み」が顔を出してしまうことがあったという。

実際、今でも自分の中にどれくらい無意識の偏りがあるかを測定するサーベイテストを受けると「Very Strong(強いアンコンシャス・バイアスがある)」という結果が出てしまうそうだ。

「地のままの私は、もともと持っている固定観念に引きずられてしまうことがあります。だからこそ、自分は“固定観念が強い”ということを自覚し、常に自分の固定観念や偏見を意識して行動することを心がけています」

その思いを強くしたのは、2014年にノーベル平和賞を受賞したパキスタン出身の人権活動家、マララ・ユスフザイの父親と話をしたときだったという。マララの父は小木曽にこう言った。

“私はイスラム教の厳格な家庭で育ちました。母がどれだけ体調が悪くても、父は水一杯汲みませんでした。でも大学で学び、この慣習が間違っていたことに気付きました。そのとき気づいたことをもとに、マララを育てたんです”

人は生まれ持った固定観念を、努力や教育の力で外すことができるのだ。
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文=石川香苗子 写真=小田駿一 編集=松崎美和子

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