いよいよ解禁 世界の富裕層も魅了する冬の味覚「越前がに」の魅力

「越前がに」は黄色いタグが特徴(写真提供:公益社団法人福井県観光連盟)


「越前がに」の特徴


越前海岸は、陸からすぐに水深が深くなり、カニの生息域である水深200メートルから300メートルの漁場が漁港から目と鼻の先にある。一方、若狭湾から見ると、段々畑のように徐々に水深が深くなっていく。ズワイガニは成長段階に応じて、生息する水深を変える。良好な環境で育ったカニを、身が弱らないうちに、漁獲してすぐに港に持ち帰る。このため、福井のカニ漁を行う漁船の多くは思いのほか小型だ。


「越前がに」の漁場は海岸から30キロ圏と近い。三国温泉の「望洋楼」から沖合を望む。このきれいな海の沖に「越前がに」の漁場がある。

「越前がに」は、全国のズワイガニの中でもトップブランドとして知られており、福井県で水揚げされるオスのズワイガニ。山陰地方では「松葉ガニ」、石川県では「加能ガニ」と呼ばれ、各地でブランド化に取り組んでいる。福井県では「越前がに」のブランドを守るため、全国で最も早く黄色いタグを付けて出荷している。

越前漁港を筆頭に、三国港・敦賀港・小浜港で「越前がに」の水揚げ港となっている。また「越前がに」は、全国で唯一、100年以上までから皇室に献上されている。献上に値するカニは、年明け1月以降のもので、十分に成熟した1.1kg以上の色艶、形のいいものだけが献上ガニに選ばれる。

平成27年度からは「越前がに」の最上級ブランドとして、重さ1.3kg以上、甲羅の幅14.5cm以上、爪の幅3cm以上のものを「越前がに極(きわみ)」として認定している。「越前がに」の証である黄色いタグと「極」タグで差別化されている。

越前海岸には「蟹見十年、蟹炊き一生」という言葉が昔から伝わる。蟹を見る、つまり目利きには少なくとも十年の修業がいる。しかし、蟹を炊く、おいしく茹でるのは一生勉強だ、という意味だ。良好な環境がもたらす蟹そのもの品質の良さはもちろん、歴史と伝統の技、そしてカニを取り扱う福井の矜持が、「越前がに」のブランドを支えている。

「越前がに」を選定する秘訣


──魅力あふれる「越前がに」ですが、個体によって全く味が異なると言われています。「越前がに」を選定する秘訣と食べる時のポイントについて、「越前がに」と向き合って30年の刀根副会長はどのように見極めていますか?

肉の厚さや足の太さ色つや、身がしっかり詰まっているか、指で押して確認することが重要です。 いつも最高の漁場に行く船が何隻かありますが、水揚げは少なく価格は競り上がる傾向になります。一切躊躇せずセリ落とすことが重要です。

目利きはあくまでも見た目でとらえる、感覚的なもの。長年やってこないとわからない。30年かけても……見た目と実際のカニの善し悪しのギャップを埋めるのは積み重ねてきた経験。突き詰めればどれだけ、捌いたかだと思います。能書きはいらない。食べておいしかった。それだけでいいと思います。

カニの美味しさが一番わかるのは茹で。身の繊維に旨みエキスが絡み芳醇な味わいが楽しめます。他に刺身・焼き・しゃぶしゃぶもおいしく味わえます。蟹の見立てがすべて、福井沖から水揚げされる「越前がに」の中でも最高の一杯を求め30年。日々修行が続いています。
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文=鈴木幹一

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