「全盛期はまだこれから」 大坂なおみが企業に愛される理由


大坂は最も売れるスターであり続ける


メンタルヘルスの問題は、近年、スポーツ界でより広く関心を集めるようになっており、NBAのケビン・ラブや競泳のマイケル・フェルプスなど、多くのスター選手が個人的体験を打ち明けている。

スポーツマーケティングのコンサルティング会社を営むビル・サットンはこう考えている。大坂はパンデミックによるロックダウンを受けて新たに注目度が高まっているメンタルの問題について包み隠さずに語った。そのことによって、メンタルヘルス分野のスポンサー候補の興味を引く可能性がある。

大坂が社会問題について自分の意見を述べていることについても、同じことが言える。

「ブランドにとって社会問題への意識は、1、2年前までは6番目か7番目に重要なテーマでした。それがいまでは、1番あるいは2番目に重要になっています」と、前出のファボリートは言う。

大坂が東京オリンピックに出るか出ないかにかかわらず、彼女のコート上での活躍と、収益性の高い日本市場における地位があれば──その若さと人柄は言うまでもないが──大坂は今後もスポーツ界で最も売れるスターのひとりであり続けるだろう。

「アスリートとしてもブランド大使としても、大坂の全盛期はまだこれからです」とファボリートは言う。

「彼女が望み通りの心の健康を得て、今回の一件を切り抜けることができれば、それは素晴らしい復活の物語になります。そしてスポーツにおいて、復活劇ほど私たちが好きなものはありません」


フランキーズ ビキニとのコラボで水着姿を披露。


おおさか・なおみ◎1997年、大阪府生まれ。180cm、69kg。父はハイチ系アメリカ人で母が日本人。2019年の全豪オープン優勝で、男女を通じてアジア勢初の世界ランキング1位に。生涯獲得賞金は1973.5万ドル。

文=ブレット・ナイト 写真=マテオ・ビラルバ 翻訳=木村理恵 編集=石橋俊澄

この記事は 「Forbes JAPAN No.085 2021年9月号(2021/7/26発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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