ビジネス

2021.11.21

世界最強のブロックチェーン開発基盤Alchemyを生んだ30代起業家

アルケミーCEO Nikil Viswanathan/Getty Images


27人のチームが世界を変える


サンフランシスコを拠点とするアルケミーの従業員数は27人と、小規模だが、同社のチームには、Do.comを共同設立して売却したジェイソン・シャーや、Yコンビネータが支援するスタートアップを売却したマイク・ガーランドなど、優秀なメンバーが揃っている。

ローとヴィスワナサンは、2011年にスタンフォード大学で出会い、それ以来、10以上のプロダクトを一緒に作ってきた。2人は2017年のフォーブスの「30アンダー30」にも選出されていた。

「彼らは素晴らしい」と語るのは、今回のラウンドを主導したアンドリーセン・ホロウィッツのジェネラルパートナーで、15年前に2人と共にスタンフォードでコンピュータサイエンスを学んだAli Yahyaだ。「アルケミーの驚異的な成長は、世界中のこの分野の開発者を支えるプロダクトを、世に送り出した結果だ」と彼は述べている。

米教育省もブロックチェーンの活用開始


今年は、ブロックチェーンにとって素晴らしい年になった。ビットコインは10月初めに6万6000ドルを超える史上最高値を記録し、ブロックチェーン関連のスタートアップの第2四半期の調達額は、前年同期比900%増の約44億ドルに達した。

さらに、2人とはフォーブスの30アンダー30で同期の、現在29歳のサム・バンクマン・フリードは、暗号通貨取引所のFTXを成功させ、保有資産を265億ドル(約3兆円)に上昇させた。

アルケミーのシリーズCに参加したDFJ Growthのマネージングパートナーで、テスラやスペースXにも出資したRandy Gleinは、「彼らは、これまで私が見てきた中で最も急成長している企業の1社を作った」と話す。「アルケミーは、AWSがインターネットに与えたのと同じレベルのインパクトを、ブロックチェーンにもたらそうとしている」

ブロックチェーンは単に暗号通貨のためのものではなく、より一般的な用途に使えるとスタンフォード大学で30年間に渡りコンピュータサイエンスの教授を務めるJohn C. Mitchellは指摘する。米国教育省は、2020年に教師の資格や学生の成績証明書を記録するためにブロックチェーンを用いるプロジェクトを始動させた。

ここで気になるのは、ほぼ無限のリソースとマンパワーを持つアマゾンが、AWSビジネスの成功を、ブロックチェーン分野で再現できていないことだ。ヴィスワナサンは、その理由として、この市場がまだ比較的小さいことや、アルケミーを模倣することが極めて困難であることを挙げている。

ローとヴィスワナサンは、仮に明日、アルケミーを売却すれば、一生安泰に暮らせるだろう。しかし、彼らは会社を売るつもりはない。

オフィスの椅子に座り、“everything is awesome(すべてが素晴らしい)”と書かれたTシャツを着たヴィスワナサンは、こう話した。「アルケミーのテクノロジーは、インターネットやコンピューターと同じくらい革命的なものになる。僕らの目標は、その恩恵を全世界にもたらすことだ。」

編集=上田裕資

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