SB-8は、「(胎児の心拍が確認される)妊娠6週目以後の中絶を禁じ、性的暴行や近親相姦(そうかん)による妊娠にも例外を認めない。ただ、母親の命が危険にさらされている場合は除く」とされている。だが、法の執行を事実上、一般市民に委ねるものとなっており、連邦最高裁で合法性が審理されている。
一方、オハイオ州の法案は、「中絶を全面的に禁止する」としており、SB-8よりもさらに極端な内容。そして、SB-8と同様に、中絶を支援した人を訴える権利を一般市民に認めており、勝訴すればこの市民には、最低1万ドル(約114万円)の損害賠償金が与えられることになっている。
こうした法案が提出されるのは、オハイオが2州目だ。ただ、共和党が多数派を占める十数州が今後、同様の法案を提出する可能性があるとみられている。
フロリダ州ではすでに9月、共和党の議員が妊娠6週目以降の中絶を禁止する法案を提出。アーカンソーとミズーリの両州でも、議員らが法案提出の予定であることを明らかにしている。ミシシッピ、ノースダコタ、インディアナの各州でも、議員らが提出に関心を示している。
サウスダコタ州のクリスティ・ノーム知事はSB-8が可決され、9月1日に施行された後、自州が「最も強力なプロ・ライフ(生命を尊重し、中絶に反対する)」の法律を施行していることを確認するため、同州の州法とSB-8について「速やかに見直しを行う」よう、知事室に指示したとツイートしている。
中絶の権利を支持する(プロ・チョイス)のガットマッハー研究所は、アラバマ、ジョージア、アイダホ、アイオワ、ケンタッキーの各州をはじめ少なくとも14の州が、SB8のような法案を提出すると予想している。
また、AP通信は、オハイオ州議会下院の共和党所属の議員らは、半数以上が中絶に関するこの法案を支持しており、通過する可能性は十分あると指摘している(上院の状況は不透明)。