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「仕事か結婚か」。角度を変えたら見えたこと


順調にキャリアを歩んでいた笹原に、初めの転機が訪れる。ちょうどiモードの仕事が面白くなってきた26歳の時、結婚の決断を迫られた。東京でまだまだ仕事を続けたい、でも結婚するなら、今の業務を諦めて相手のいる大阪に行かなくてはいけない。仕事か結婚か。

「一生懸命考え抜いて、ふと気づいたんです。結婚と同居は別のことだと。別々に住んでいたって結婚することはできる。どちらも諦めなくていいんだって」

夫婦は同じ家に住まなくてはならない、その場合、大抵は女性が男性の事情に合わせるものだ──。当時、無意識に縛られていたそんな“当たり前”を越えて、「結婚と同居は違うという結論を出せたことが、人生でいちばんのイノベーションだった」と笹原は言う。そしてこんな考えに至った。

「この先も子供ができたり、親の介護が必要になったり、今の状態のままで仕事を続けられなくなる日がきっとくる。だからこそ、自分らしく働き続けるには、いつでも『転職できる人材』にならないと生き抜けない」

そこから、笹原は意識的に視野を広く持とうとするようになる。どうすれば、自分の市場価値を上げることができるか。どういう転職人材に、自分はなりたいのか。

考えた結果、笹原は副業に一歩を踏み出すことにした。異業種の女性7人と一緒に、コンサルティング会社を起業したのだ。主な事業は、女性消費者向けの企画アドバイスだ。

「私以外のメンバーが優秀すぎたから、実は落ち込むことも多かったんです。でも、自分の実力を客観視できるとてもいい機会になった。自分が出したアウトプットに対する対価が目に見えることも新鮮で、社内に閉じこもっていてはわからないことが経験できました。

それに、本業が不調だったときは、副業に頼ることができる。人生のストーリーがいくつもあると思えるようになったんです」

会社員に軸足を置きながら臆することなく自分のフィールドを広げていく笹原のスタンスは、このときから加速した。

文=松崎美和子、島田早紀 写真=小田駿一

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