「メンズビオレ自販機」導入で都内進学校が目指すこと。男子長髪も?

私立青稜中学校・高等学校校長青田泰明氏

東京品川区にある私立共学、青稜中学校・高等学校。2020年春から同校校長を務める青田泰明氏は、読売新聞オンライン、「THE名門校!日本全国すごい学校名鑑」(BSテレ東)などメディアでも取り上げられることが多い、同校の3代目校長だ。

青田氏は校長代行時代から、新制服のデザインを「ブルガリ」や「モンクレール」などのブランドとコラボレーションしてきた藤原ヒロシに依頼、またジャージのデザインは、EXILE、三代目J SOUL BROTHERSの衣装も手掛ける小川哲史に依頼するなどして、大きな話題を集めてきた。

そして青田氏が校長を務める同校は現在、「女子の髪型に関する校則改定」を前提とした試行期間中だ。「女子は後髪が肩に届いたら結ぶ」というルールを「髪を結ぶ、結ばないは任意とする」ルールに変更する前提だ。男子の髪型についても現在、ルール変更を検討しているという。

青田氏に、今回の校則見直しに関して、ジェンダーの観点からの取り組みについて、そして校内に設置されたばかりの「不思議な自販機」について話を聞いた。


コロナ禍対応で会議体が鍛えられた


今回の「頭髪に関する校則」改定案は、生徒たちとの雑談から生まれました。日々、校内を回って生徒たちと話していますが、とくに2、3年前から、「髪型」は女子生徒との会話でよく話題にされていた。

どうしても同じところで結ぶので髪にクセがついたり、突っ張って痛かったり、と。何よりも、結ばなくていい学校もあるのにどうして? など「合理的ではない、理由が明確でない」といった意見をよく耳にするようになったんです。

もともと、自分が校長になったら校則は大幅に変えたいとずっと考えてはいました。ルールを守ることはもちろん大事ですが、時代が遷移する中、よりどころとする規範そのものもアップデートしないのはおかしい、と思っていたのです。

生徒からボトムアップされた改正案にはむろん、教師側からさまざまな意見もありました。ベテランの先生ほど、現行のルールで数十年間、誠実に指導してきた成功体験や自負があります。

ですが、先生たちとの会議ではさまざまな意見が提案と抱き合わせで提示されたし、生産性のあるクリエイティブな議論ができたことが、試行決定までとんとん拍子で運んだ理由です。

これは、コロナ禍という前例のない、タイムセンシティブな状況下での議論を体験し、学校組織の中で部長会など各会議体が鍛えられた結果でもあると思います(同校はコロナ禍で他校に先駆けオンライン化に踏み切ったことでも、メディアに多く取り上げられた)。
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構成・文=石井節子 写真(青田氏)=曽川拓哉

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