そうしたらなんと、男子がものすごく買っていく。すごい売れ行きなんです。
花王商品は自動販売機ベンダーを通さずに学校が直接仕入れ、販売機自体はリース会社からリースしています。このことで生徒が手軽に買える価格に設定できています。実は、生徒たちに買われれば買われるほど赤字なんですが(笑)。
結局、本当は男子も、肌の手入れなどに興味はあったんだ、とわかった。たとえばBTSのメンバーも、肌がきれいだし、メイクもしている。しかし「自分も美肌男子に……」と思っても、周囲のバイアス意識が気になって化粧品はなかなか使えない。
そこに、学校が売りはじめたことで正当性が担保された、買いやすくなったんでしょうね。大げさにいえばこの自販機をきっかけに無自覚のジェンダーバイアスが少しでも消えていくといいな、と考えています。
「ふるい常識の再生産」というネガティブループを断ちたい
生徒たちが、われわれにとっての「常識」のレガシーのみを受け継いで学校を卒業してしまえば、今の社会はずっと続いていくだけでしょう。だから、「ふるい常識の再生産」というネガティブループは断つべきではないかと思うんです。
そのためにもわれわれが、これからのトレンドと思われる価値を調べて先取りし、それを、たとえばこういう「メンズビオレの自販機」などのギミック(うまく興味を引く、マーケティング的な仕掛け)の形で、学校生活の日常風景の中に用意してあげてもいいのでは、と思っています。
同校「自然科学部」の部室には、イグアナやタランチュラなども飼われている