今回のシリーズDラウンドは、タイガー・キャピタルの主導によるもので、Nuroの宅配ロボットを導入したスーパーマーケット大手のクローガーも参加した。同社の評価額は前回の資金調達時の50億ドルから86億ドル(約9800億円)に上昇し、累計調達額は20億ドルを突破した。
Nuroは、グーグルを含む個別の出資元からの調達額を明らかにしていない。
「今回の投資により、商業化戦略を加速させ、当社の技術で人々の暮らしをより良くしていく」とNuroの共同創業者で社長のデイブ・ファーガソンは述べている。Nuroは、ファーガソンと同社のCEOでJZの愛称で呼ばれるJiajun Zhuの出身母体であるウェイモとは異なり、人を運ぶのではなくロボット配送車の商業化に注力している。
アルファベット傘下のウェイモも、自動運転トラックや配送サービスの開発を手がけており、グーグルがNuroに出資したのは予想外の展開と言える。
Nuroはこれまでフェデックス、ウォルマート、クローガー、ドミノピザなどの大手と、配送サービスの試験プロジェクトを実施している。
クローガーのCIO(最高情報責任者)のYael Cossetは、「クローガーとNuroは、スケーラブルで持続可能かつ収益性の高いソリューションを生み出していく」と述べている。
Nuroは今回、グーグルから出資を受けると同時に、Google Cloudと5年間の「戦略的パートナーシップ」を締結し、大規模な自動運転のシミュレーションや機械学習サービス、車両データの保存などを行うと宣言した。また、グーグルとは「地域の商取引を強化し変革するための機会を共に模索する」と述べている。
Nuroのトースターに似た外見の宅配ロボット車両R2は、一般的な乗用車の半分ほどのサイズで、モノを運ぶことに特化しており、最大時速は40キロ程度だ。この車両は、昨年2月に合衆国運輸省の認可を受け、同4月にはカリフォルニア州から、シリコンバレー地域における運航許可を取得していた。
今年8月、Nuroは、デリバリーロボットの生産拡大に向けて、4000万ドルを投じてラスベガス近郊に組立施設とテストサイトを設立すると発表した。また、中国の電気自動車メーカーであるBYDと共同で、BYDの最新のバッテリーパックとモーターシステムを搭載した新しい車両を開発している。