世界初、電子たばこを「禁煙ツール」として処方へ 英イングランド

Photo illustration by Christopher Furlong/Getty Images

英国の医薬品・医療製品規制庁(MHRA)は10月29日、医療機器として認可された電子たばこをイングランドの国民健康サービス(NHS)で処方できるようにする方針を明らかにした。喫煙率を下げる政府の取り組みの一環で、承認されれば電子たばこの処方は世界初になる見込みだという。

政府統計によると、イングランドの喫煙者は約610万人で喫煙率は記録的な低さとなっている半面、貧困地区では23%に達するところもあるなど域内でばらつきがある。

MHRAは電子たばこメーカー側に対して、製品を申請してほかの医療機器と同様の審査・承認手続きを受けるよう呼びかける。電子たばこについては、ニコチンを含み、リスクがないわけではないとしながらも、英国や米国の専門家による審査によれば「規制された電子たばこは喫煙よりも害が少ないのは明らか」だとしている。

「ベープ(vape)」などとも呼ばれる電子たばこをめぐっては、専門家や規制当局、議員らの間で見方が分かれているのが実情だ。英国では禁煙に役立つツールとされ、タールや一酸化炭素など、たばこから発生する有害物質の削減にもつながると考えられているが、米国などほかの国では規制の対象となっており、販売を全面的に禁止している国もある。

米国では、フレーバー付きのものなど一部の電子たばこが未成年の間で人気なことが多くの調査から判明している。米疾病対策センター(CDC)によると今年も、学校に通う子ども約200万人が電子たばこを使ったと推定されている。米食品医薬品局(FDA)は10月、禁煙を望んでいる成人喫煙者に対するメリットが10代に対するリスクを上回ると判断し、電子たばこ製品について初めて使用許可を出した。

世界保健機関(WHO)によると、たばこは世界各国で死亡や病気などの主因になっている。たばこはどのような形態のものも有害であり、さらされて安全なレベルはないというのがWHOの見解だ。たばこを直接使用した結果、世界で年間700万人超が死亡しているほか、さらに約120万人が受動喫煙によって死亡している。喫煙者の大部分は紙巻たばこを吸っている。

編集=江戸伸禎

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