30U30

2021.11.04 12:30

スポーツの「根性指導」をAIで変える Sportip高久侑也の原体験

起業家 髙久侑也

次代を牽引する新しいリーダーを発掘し、ビジネスからサイエンス、スポーツ、アートなど多彩なジャンルから30人の才能に光をあて、その活動をForbes JAPANとしてエンカレッジしていくことを目的としている「30 UNDER 30 JAPAN」。

今年、各分野に精通した専門家や業界オーソリティ、過去受賞者で構成されるアドバイザリーボードと編集部で審査を行い、サイエンス&テクノロジー部門の受賞者として選出されたのが、髙久侑也だ。



個人の運動データを分析し、“パーソナルコーチ”AIを開発するSportip。CEOの高久侑也は「スポーツ界の経験に基づく指導をAIで変える」と意気込む。


──事業について教えてください。

人間の姿勢・動きを解析して、最適な動作を指南するAI「Sportip Pro」を開発しています。プロスポーツチーム、フィットネスジム、整体などで利用されています。動作の種類や鍛えたい筋肉によって、個別最適な指導のサポートができるよう設計しています。

──起業のきっかけは?

私自身が昔ながらの「根性指導」によってケガをし、野球をやめてしまったことです。経験やカンに基づく指導では、個人の身体的特徴に合った練習ができず選手に不利益。これをAIによって最適化し、指導者と選手の間にある「非対称性」をなくしたいです。

──今後の事業展開について。

Sportip Proの利用領域を広げていきたい。現状ではジムや整体・接骨院が中心だが、デイサービスなどの介護領域で応用します。また、指導員なしでトレーニングできる個人向けの「Sportip Meet」も提供予定です。最終的には、人間が運動指導せず、AIに任せていく。その代わり、人間はモチベーションアップなど創造的な業務に従事できる未来をつくっていきたいです。


たかく・ゆうや◎1994年、栃木県生まれ。筑波大学体育専門学群卒。一橋大学大学院経営管理研究科修了。自身のスポーツでの体の故障の経験から、2018年にSportipを創業した。

text by Naoto Tsuyuhara / Photographs by Emi

この記事は 「Forbes JAPAN No.088 2021年12月号(2021/10/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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