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朝日新聞外交専門記者

Photo by Behrouz Mehri/AFP//Pool/Anadolu Agency via Getty Images

10月31日に投開票された衆院選は、自民党が絶対安定多数の261議席を獲得して終わった。翌11月1日に行われた自民党役員会は、そんな選挙結果とは対照的な空気が流れたという。出席者の1人は「(選挙区で敗北した)甘利さん(明幹事長)が気の毒で、目を合わせられなかったよ」と語る。甘利氏は司会役として役員会を仕切ったものの、視線を落とす場面が目立ち、落胆ぶりがはっきりと伝わってきたという。

自民党幹部の1人は今回の選挙結果について「与野党関係なく、世論が政治家の世代交代を求めたということだろう」と語る。確かに、比例復活の有無はともかく、甘利氏(神奈川13区・当選13回)のほか、自民党の石原伸晃氏(東京8区・当選8回)、野田毅氏(熊本2区・当選16回)、立憲民主党の小沢一郎氏(岩手3区・当選18回)、中村喜四郎氏(茨城7区・当選15回)ら、与野党関係なく、ベテラン議員が選挙区で次々に敗退した。

メディアはこうしたベテラン政治家に対する逆風について「地元後援会の高齢化」「スキャンダルの影響」などと分析している。こうした原因に加え、この党幹部が選挙戦で感じたのは「選挙の世代交代」だったという。昔の典型的な「手堅い選挙」とは、選挙区の有力者たち、地元企業や商店会、町内会らの幹部を通じて支持を訴えるやり方だった。駅前や商店街などでの遊説よりも、こうした組織回りに重点を置く候補も多かった。社会の人間関係が濃かった時代は絶大な効果を発揮した。

ところが、最近の選挙ではこの伝統的な手法が通用しにくくなっているという。ある自民党幹部は選挙戦で、地方の新幹線停車駅から車で1時間半ほど離れた山間部の事業所を訪れた。そこで、応援演説を敢行したものの、事業所の全員が熱心に聞き入るといった雰囲気には程遠かったという。「昔なら、社長の号令一下、全社員が集まって熱心に拍手してくれたものだ。今は、手の空いている人がいたらお願いします、という程度で、熱気なんか感じられなかった」と話す。野党の組合頼みの選挙戦にも、同じ現象が起きているという。

これに対し、都市部を中心に、選挙戦で圧倒的な勝利を収めた政治家に共通しているのが、ツイッターによる強力な発信力だという。確かに、神奈川15区で次点の4倍以上の得票を上げた河野太郎氏(自民党)はツイッターのフォロワーが240万以上、東京4区で次点にダブルスコアで圧勝した平将明氏(同)は同8.7万だ。自民党幹部は「もちろん、フォロワーが選挙区に住んでいるとは限らない。現実の世界の有力者をうまくフォロワーに取り込めば、選挙戦で絶大な効果を発揮する」と語る。

文=牧野愛博

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