経済・社会

2021.11.03 11:00

イノベーション起こらぬスマートライフ。NTTドコモの「成長を阻む壁」 


5G、6G時代の到来とともに、有線の長距離ネットワークのニーズは低下しつつある。するとコムやコムウェアの法人部門以外の魅力も削がれる。近未来のモバイルネットワークを有効活用するため、ネットワーク事業をドコモに集約、スリム化を目指す目論見もありそうだ。

NTTグループは何しろ日本でも有数の巨大組織。

それだけにドコモ社内で最先端ソリューションや新事業の検討を始めると「同じような事業をNTTデータがリリースしてましたよ」とグループ内での共食いが露呈し、調整に奔走する……などという状況も日常茶飯事だった。

つまりグループ内で右手が手を付けている事業を左手が知らない、という状況は山積しており、再編はこうした技術革新の重複を防ぐ役割も果たすに違いない。

日本の巨人NTTグループは、ドコモ再編を契機に、澤田純NTT代表取締役社長が提唱するよう、GAFAに近づくことができるのか。今後繰り出されるであろう「スマートライフの未来」に期待したい。

少々余談だが、NTTドコモはレッドハリケーンズ、NTTコミュニケーションはシャイニングアークスというラグビーチームをそれぞれ保有している。

ラグビー新リーグのスタートを前に、ドコモの再編にともない、この2チームの行く末が気になるのは、ラグビーファンだけではないだろう。

文=松永裕司 編集=露原直人

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