魅了の段階の会話で重要なのは、ラポール(親密さ、調和)を確立することで、それができなければ前に進めない。あなたとクライアントを引き合わせたのは、どんな関係だろうか? 紹介、イベントでの出会い、あるいは聴衆としてプレゼンテーションを聞いた、などが考えられる。
有意義なインタビューの段階では、見込み客にとって、以下のことを明確に理解するうえで役立つものでなければならない。すなわち、目標、目標達成のための資産(隠れた資産を含む)、達成を妨げる障壁、そして、あなたが他の顧客をどうやって出発地点から目的地まで導いたかだ。
意思決定の段階では、次のような質問をする必要がある。「これで大丈夫ですか?」「次に進む準備はできていますか?」「次のステップはこれですが、いつ始めたいですか?」といったものだ。
合意段階の会話では、料金、オプション、条件、開始のためのステップを明確に説明する。また、心を通わせつつ、詳細を書面に起こすことも必要だ。
この4段階は通常、複数回の会話を通じて進行する。プロセスの透明性はプラス要素であり、見込み客がすべてについて決定権をもっていると感じるなら、とりわけ役に立つ。顧客を操ったり、騙したりするのとは正反対のやり方だ。適切な会話は信頼を築く。
信頼関係の構築については、先駆者たちの功績に触れておこう。これは、筆者独自の考えから生まれたものではなく、何が効果的かを調べた、もっと強力な研究に基づいている。
こうした考え方は、元ハーバード・ビジネス・スクール教授のデヴィッド・マイスター(David Maister)のほか、『顧客を獲得する魔法(Non-Manipulative Selling、邦訳:きこ書房)』や『プラチナ・ルール(The Platinum Rule)、未邦訳』の著者トニー・アレッサンドラ(Tony Alessandra)、エンロールメント習得のソートリーダーであるビル・バレン(Bill Baren)とパトリック・ドミンゲス(Patrick Dominguez)、『ビジネスを成長させる(Growing Your Business)、未邦訳』の著者マーク・ルブラン(Mark LeBlanc)、それにサンドラー・セールス・トレーニング創始者のデヴィッド・サンドラー(David Sandler)などの教えから影響を受けている。
ところで、考えてみてほしい。あなたはエンロールメントに失敗して、あなたを雇うはずだった見込み客を失ったことはあるだろうか? 先にあげたメンターのひとりも、ある時こうした経験をした。彼は7年後、エンロールできなかった当時の見込み客とパーティーで出会ったが、その時、元見込み客の人生はうまくいっていなかった。誰のせいだろう? 筆者のメンターは、7年前にうまくエンロールメント会話ができなかった、自分のせいだと確信した。
この通り、目下の課題はエンロールメントの改善だ。エンロールメントによって、高額報酬を得られる可能性のある見込み客との会話を倍増させ、会話率を倍増させることができるのだから、見返りは莫大だ。今こそ、エンロールメント会話の妙技を身につけよう。
次回の記事では、こうした会話を展開するための、5つの簡単なステップを紹介する。