フォーブスは毎年スポーツチームの資産価値を試算しているが、上位50チームの評価額の平均値は前年比9.9%増の34億ドル(約3740億円)で、5年前と比べ55%も増加している。
背景にあるのは莫大な放映権料とスポンサー収入だ。コロナ禍での経済的損失で最も大きいのはチケット収入だが、メディアの放映権やスポンサー収入は原則、複数年の契約となっている。おかげでメジャーリーグや欧州サッカーのビッグクラブは財務基盤が安定しており、コロナによる打撃も比較的少なく済んでいる。
最新ランキングで注目すべきは、スペインの2大サッカークラブ、バルセロナとレアル・マドリードだろう。NBA(北米男子プロバスケットボールリーグ)のゴールデンステイト・ウォリアーズとロサンゼルス・レイカーズをトップ5の座から引きずり下ろし、4位と5位に食い込んでいる。
ここで紹介するのは20位までのチームだが、トップ50の過半数を占めるのは、圧倒的な収益力を誇るNFL(米プロアメリカンフットボールリーグ)。日本のチームは50位内に入っていない。
算出方法
各チームの資産価値(純資産と純有利子負債の合計)は、米フォーブスが過去6カ月間に発表した、各チームの営業収益、収益分配制度による是正後の運営収入に基づいて試算した。ランキング作成にあたっては、各チームやスポーツ投資銀行家、メディアコンサルタントなどの評価をもとに、公開されている資料(スタジアムのリース契約に関する文書や債券証書など)も参照し、総合的に勘案している。ただし、スタジアム等関連施設の不動産価格は含まない。日本円へは1ドル=110円で換算。
RANKING
*項目:1 本拠地、2 競技、3 資産価値(過去5年の伸び率)、4 オーナー、5 買収年/買収額
1. ダラス・カウボーイ
1 米国2 NFL
3 $5.7B(43%)
4 ジェリー・ジョーンズ
5 1989/$150M
1995年以来スーパーボウルの出場はないが、強力なブランド力で6年連続の首位獲得。スポンサー収入はNFL随一で、昨年はミラーと1億8000万ドルの10年契約を締結。
2. ニューヨーク・ヤンキー
1 米国2 MLB
3 $5.25B(54%)
4 スタインブレナー家
5 1973/$8.8M
リーグ優勝からは遠ざかっているが、ヤンキースが設立した専門テレビ局YESネットワークは、1試合の平均視聴者数が27万7000人を記録。球団運営を支えている。
3. ニューヨーク・ニックス
1 米国 2 NBA3 $5B(67%)
4 マディソン・スクエア・ガーデン・
スポーツ
5 1997/$300M
NBA30球団中、資産価値ではトップに君臨し続ける。主な収入源は、本拠マディソン・スクエア・ガーデンの放映権料と入場料。ライブ会場としても大きな収益を生んでいる。
4. FCバルセロナ
1 スペイン2 サッカー
3 $4.76B(34%)
4 クラブ会員
5 ソシオ制
レアル・マドリードをおさえ、初めてサッカークラブの資産価値No.1に。史上最高額の年俸と伝えられるメッシの昨夏の退団騒動は、会長の辞任というかたちで決着した。
5. レアル・マドリードCF
1 スペイン2 サッカー
3 $4.75M(30%)
4 クラブ会員
5 ソシオ制
資産価値はバルサを下回ったが、広告やスポンサー契約などで2019〜20年に4億2400万ドルを獲得(5年前の55%増)、商業収入ではサッカー界王者の地位を守った。