企業の中のイノベーター 僕がSansanの「社内コーチ」になるまで

Sansan人事部 Employee Successグループ 三橋 新さん(左)


──現在のコーチング体制は?

活動としては、個人コーチングからチームを対象としたコーチングへシフトしていきたいと考えているところです。

ただ、そうすると個人向けのコーチングをできる人がいなくなってしまうので、社員からの育成と社外のコーチの力を借りながら、引き続き社内の大勢が体験できるように組み立てています。受けてみないとその良さや効果がわからないので、成果も大事ですが、やはり体験は重要視しています。

自分自身としても、今までは個人コーチングの職人になりたいと思って探求していたのですが、最近ではチームコーチングを極めていきたいと考えています。

企業において個人が成果を出すのは、チームの関係性においてなんですよね。いくら個人に対して一生懸命コーチングしても、結果的にうまく成果を出せないケースがいくつかあり、チームとして扱っていく必要があると感じたことがきっかけです。チームコーチングは知れば知るほど奥深く、面白いので、探究のしがいがあります。

──外部のコーチを使うという選択肢もあるなかで、社内にコーチがいることのメリットは何だと思いますか?

1つは、事業や企業の背景についての共通理解があることです。背景を大体わかっているので、すぐに社員個人の課題の話に入れます。受ける側も、コーチが会社全体の動きや状況がわかっているので安心感があるのではないかなと感じています。

もう1つは気軽さですね。社外だとお金や時間の調整が生じますが、社内のコーチであれば駆け込み寺的に使えるのがいいのではないかと思っています。実際に「今日の午後、10分だけもらえますか」と言われることもあります。

──今後、コーチ制度をどういうところに発展させていく予定でしょうか?

会社としてのビジョンというより個人的な意志ですが、会社の中でコーチとしての自分の存在感を減らしていきたいと思っています。僕に頼ってもらうのは嬉しいけれど、「僕がいなくても成り立つ状態」が目指す世界です。

メンバーと普段からの多くのコミュニケーション機会があるマネージャー(評価判断の立場にある人)がメンバーの話を聴ける人になれば、コーチはいらなくなるだろうなと。

会社として、コーチがいなくても自走していくのが理想だと思います。そのためにはまず、コーチングの体験をしたことがある人を増やし、マネジメントメンバーに、チームで成果を出す“1つの手段”としてコーチングを取り入れてもらえるように取り組んでいます。

──三橋さんご自身は、今後どんなキャリアプランを描いていますか?

チャレンジし続けたいですね。あとは学びを深めていきたい。今考えているのは、海外にも影響を与えられる人になりたいと思っていて。昔サッカーをやっていて、日本代表になりたかったのですが、コーチの領域の日本代表として、海外のチームやグローバルなチームに影響できる人材になりたいです。


三橋 新
◎Sansan人事部Employee Successグループ所属。2009年に29番目の社員として入社。会社の拡大とともに一緒に歩みを進め、営業、経営管理、人事・総務・法務、業務企画など、様々な役割を転々と担当。現在は社内コーチとして、社員個人や社内チーム向けのコーチングをメインの業務として担っている。

文=松村映子

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