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最先端の経済誌「Forbes JAPAN」の記事紹介

社会起業家 水流早貴

次代を牽引する新しいリーダーを発掘し、ビジネスからサイエンス、スポーツ、アートなど多彩なジャンルから30人の才能に光をあて、その活動をForbes JAPANとしてエンカレッジしていくことを目的としている「30 UNDER 30 JAPAN」。

今年、各分野に精通した専門家や業界オーソリティ、過去受賞者で構成されるアドバイザリーボードと編集部で審査を行い、ソーシャルアントレプレナー部門の受賞者として選出されたのが、水流早貴だ。



バックパッカーとして訪れたインドの孤児院で、経済的な事情から将来の夢が絶たれようとしている子どもたちと出会った水流早貴。貧困問題の解決に向けて情報収集するなかで、スラムに住む就学経験のない女性を教育し、安定雇用するメイドサービスへと行きついた。コロナ禍の影響でクリーニングサービスへと事業転換し、現在は9人の清掃スタッフと1人のアシスタントを擁する。


──なぜスラムに住む女性を雇用する事業を立ち上げたのか。

スラムに住む女性は日雇いなどの不安定な職にしかつけず、その子どもに十分な教育の機会を与えることができません。貧困の連鎖を断ち切るために、まず母親が安定して働ける場をつくることが大切だと考えました。

実際、当社で働き始めたことで子どもを私立の学校に通わせられるようになった人もいます。

──いままでにいちばん大きな挫折は? また、そこからどう立ち直ったのか。

コロナ禍でメイドサービスが立ち行かなくなったことです。

インドでロックダウンが始まり、6人のスタッフのうち、5人が田舎へと引っ越してしまいました。ショックでしたが、まだまだ社会にインパクトも出していない状態で諦めるわけにはいきません。私を信じて残ってくれたメンバーのためにも、すぐに何をすべきか考え、まずはスラムの母親たちに声をかけて新しい仲間探しをしました。

そしてコロナ禍の影響で除菌サービスが普及したことから、クリーニングサービスへと事業を転換。「日本人が運営する、信頼できるサービス」として、途切れることなく依頼をいただいています。

──10年前の自分にアドバイスするなら?

「小さくてもいいから、まずは行動しろ」と伝えたいですね。当時から貧困問題に関心があったものの、あまりにも大きな課題でどう取り組めばいいのか途方に暮れていました。

いまの事業を起こしたことで、少しずつですが世の中が見えてきました。「自分ができることをやっていけばいい」と思います。


つる・さき◎1992年生まれ。都留文科大学卒。人材系の会社に就職。2年半法人営業を経験した後、退職。ボーダレス・ジャパンに入社し、2019年にインド法人を設立して渡印。

text by Yoshiko Yamakage / photograph= courtesy of Saki Tsuru

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