ビジネス

2021.11.04

社員の貢献を可視化 「感情報酬」のUniposにSansanが出資した理由

左から、Sansanの共同創業者、富岡圭とUnipos CEOの田中弦(撮影=曽川拓哉)


顧客体験より、従業員体験を高める


──導入企業では継続的に利用されているのですか?

田中:月間アクティブユーザー(MAU)は80%を超えています。BtoBソフトウェアで、この数字を叩き出せる会社は、ほぼいないと思います。 

会社って実は多くのドラマが展開されてるはずなんです。ドラマというのは「契約受注しました!」などみんなが見聞きするわかりやすい成果ではありません。

会社のバリューに沿った行動としてゴミを拾ったり、地震が起きた時に率先して被災地の業務支援を行ったり、自らアピールしない行動や数字に現れない働きに感謝し、シェアしていくことで、組織のための行動と称賛のサイクルが自然と生まれるわけです。

若い人が喜びそうなサービスだと言われるのですが、実は50代、60代の方が「面白い」と言って使うんです。というのも、昔こういうマネジメントしてたなと思い出すそうです。残業した総務のおばちゃんに飴をあげたり、「頑張ってるね」と言って社員の肩をポンポン叩くような感覚というか。今じゃセクハラになってしまいますが。

unipos田中弦
撮影=曽川拓哉

最近、Uniposのユーザーにはサービス業の方が増えているのですが、彼らが一様にして言うのは、「従業員体験を高めなければ、サービスのクオリティが上がらないことに気づいた」ということ。

今までは“顧客体験”を重要としてきたが、お客さまは神様だという考えでは、ならば自分たちは奴隷なのか? という考えになってしまうわけです。Uniposでは従業員の貢献がきちんと評価される体験ができるので、それがモチベーションにつながり、顧客のための仕事が生まれる。良い給料を出せば仕事をしてくれるという時代はもう終わっていますね。

──業務提携に至った経緯、目的は?

田中:ユーザー同士だったことが一番の理由です。Sansanを初期のころから使っていたので、互いに事業を理解していました。昨年の10月あたりに提携の話を始めましたが、共に上場企業でありながら約8カ月で合意できたのは、とてつもなく早いスピードです。

Uniposはまだ認知度が低い。うちよりも圧倒的に顧客を持つSansanさんに営業活動をお手伝いしてもらいながら、クライアントさんを紹介してもらったり、認知拡大に繋げていきます。 働き方や組織改善をテーマにしたウェビナーの開催なども検討しています。

富岡:Sansanは、クラウド名刺管理から「働き方を変えるDXサービスを提供する会社」への転換を目指しています。名刺以外に請求書をオンラインで受領するBill Oneもスタートしましたが、どちらも“社外”の繋がりを強化するものです。

一方でUniposは“社内”ネットワークを改善するサービスなので、Sansanとしては既存のお客様に社外・社内双方の提案ができるようになります。UniposはSansanの価値提供にとって重要なファクターになりうると考えています。

文=露原直人 写真=曽川拓哉

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