評価額40億ドルの業務管理ツール「ClickUp」が急成長のワケ

(C)ClickUp

プロジェクト管理ツール「ClickUp」の創業者であるゼブ・エヴァンスは以前、インスタグラムやユーチューブのフォロワーを販売する企業のFast Followerzを経営していた。しかし、そのビジネスが、「ソーシャルメディアにおける人々のエゴを膨らませているに過ぎない」と感じた彼は、2016年に同社を閉鎖し、社会にポジティブな影響を与えることを目指して新たな会社を立ち上げた。

エヴァンスは、2人の初期メンバーとカリフォルニアに移り、フォロワー数を開示しないソーシャルメディアや、詐欺の心配がないクレイグリストのようなクラシファイド(個人広告)サイトを立ち上げたが、いずれのビジネスも軌道に乗らなかった。その後、自分たちの業務を一元管理するための社内ツールを開発したところ、それが成功を収めた。

サンディエゴ本拠の「ClickUp」は10月27日、シリーズCラウンドで4億ドルを調達し、評価額が40億ドル(約4560億円)に達したことを明らかにした。このラウンドには、アンドリーセン・ホロウィッツやTiger Global、Lightspeed Venture Partners、Meritech Capitalらが参加した。

エヴァンスは、2017年3月に元IBMのエンジニアのAlex Yurkowskiと共にプロジェクト管理ツールの提供を始めた。彼らのピボットは、Slackの創業者のスチュワート・バターフィールドがゲーム会社の立ち上げに失敗し、社内向けのチャット機能を、ビジネスチャットツールとして成功させたのに似ている。

エヴァンスは、Fast Followerzで稼いだ資金で新会社を運営し、最初の3年間は外部資本に頼ることなく順調に成長を遂げた。ClickUpは、2020年6月に初めて資金調達を行ったが、そのラウンドを主導したのは、元ペイパル幹部のDavid Sacksが立ち上げたCraft Venturesだった。それをきっかけにClickUpは急成長を遂げ、50人だった社員は16ヶ月で700人に増えた。

汎用性の高い業務管理ツール


シリコンバレーの大手VCは、他の生産性ソフトにも多額の投資をしている。例えば、ベンチマークやFounders Fund、Insight Partnersは、Asanaやmonday.comの上場で大きなリターンを得た。未上場のスタートアップとしては、10月初めにセコイアとCoatueから資金を調達し、評価額が100億ドルを突破した「Notion」が挙げられる。

また、クライナー・パーキンスとグレイロックは、評価額14億ドルのドキュメント作成ツール「Coda」に出資している。
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編集=上田裕資

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