エヴァンスは、2人の初期メンバーとカリフォルニアに移り、フォロワー数を開示しないソーシャルメディアや、詐欺の心配がないクレイグリストのようなクラシファイド(個人広告)サイトを立ち上げたが、いずれのビジネスも軌道に乗らなかった。その後、自分たちの業務を一元管理するための社内ツールを開発したところ、それが成功を収めた。
サンディエゴ本拠の「ClickUp」は10月27日、シリーズCラウンドで4億ドルを調達し、評価額が40億ドル(約4560億円)に達したことを明らかにした。このラウンドには、アンドリーセン・ホロウィッツやTiger Global、Lightspeed Venture Partners、Meritech Capitalらが参加した。
エヴァンスは、2017年3月に元IBMのエンジニアのAlex Yurkowskiと共にプロジェクト管理ツールの提供を始めた。彼らのピボットは、Slackの創業者のスチュワート・バターフィールドがゲーム会社の立ち上げに失敗し、社内向けのチャット機能を、ビジネスチャットツールとして成功させたのに似ている。
エヴァンスは、Fast Followerzで稼いだ資金で新会社を運営し、最初の3年間は外部資本に頼ることなく順調に成長を遂げた。ClickUpは、2020年6月に初めて資金調達を行ったが、そのラウンドを主導したのは、元ペイパル幹部のDavid Sacksが立ち上げたCraft Venturesだった。それをきっかけにClickUpは急成長を遂げ、50人だった社員は16ヶ月で700人に増えた。
汎用性の高い業務管理ツール
シリコンバレーの大手VCは、他の生産性ソフトにも多額の投資をしている。例えば、ベンチマークやFounders Fund、Insight Partnersは、Asanaやmonday.comの上場で大きなリターンを得た。未上場のスタートアップとしては、10月初めにセコイアとCoatueから資金を調達し、評価額が100億ドルを突破した「Notion」が挙げられる。
また、クライナー・パーキンスとグレイロックは、評価額14億ドルのドキュメント作成ツール「Coda」に出資している。