30U30

2021.10.31 10:00

「表現者」はいかに生まれたのか 30 UNDER 30アート部門受賞者に聞く

Forbes JAPAN 30 UNDER 30 JAPAN 2021 Ceremony(撮影=You Ishii)


何を作っても「すごいね」と褒めてくれた


──どのような幼少期を過ごし、どう育ったのか
-->
advertisement

細井:どう考えても普通の家庭で育ちました。今の活動に繋がる原体験としては、大学です。メディアアートという美術分野の現場で、作家さんの作品や作る過程を見たり、一緒にお仕事させてもらいました。そこで作品づくりに興味を持ってからは、その関心のままに突き進めたのかなと思います。


サウンドアーティスト・細井美裕(撮影=You Ishii)

小野澤:僕の育った家庭では、好きなことを好きなだけやらせてもらえました。例えば、高校は進学校でしたが、ジャグリングばかりやっていて、試験の順位は後ろから数えた方が早かった。
advertisement

それでも親は、テストや勉強のことを責めず応援してくれました。僕が公演活動をすれば見にきてくれ、パフォーマンスに拍手をしてくれました。

「自分の好きなことに前向きにやっていいんだ」と思える環境が、幼い頃からあったのかなと思います。藝大に行きたいと伝えた時も、最終的に思い切り背中を押してくれました。

藤原:2人と結構似ています。私の親はめっちゃ親バカで、私が何を作っても「すごいね!」って褒めてくれたんです。

お笑いの学校行くっていうのも、私は最初ノリで言ってみたんですね。「頭悪くてどこの大学にも入れないから、吉本に入る」と伝えたら、母が「あなたは天才だから何でもできるよ!」ってすごく喜んで親戚中に言いふらしてしまい、吉本に入るのをやめられなくなってしまいました。応援して後押しして肯定してくれる人が周りにいたのは良かったなと思います。


無駄づくり発明家・藤原麻里菜(撮影=You Ishii)

──自らの活動を通して描きたい未来は

藤原:無駄なことを広く受け入れる寛容な社会にしていきたい。無駄づくりがその手がかりになればいいなと思います。

小野澤:僕がやってきた、パフォーマンスで人を笑わせたり盛り上げるということを、より普遍的な美術という領域で拡張させていき、人の心を振動させられるような作品を作っていきたいです。

細井:「こういう世界があったらいいな」、と新たなものの見方や気づきを与える作品を作っています。気づきを得ることのできる美術作品ができたら、今度はそれをどう社会に繋げていくか。エンジニアや技術チームとともに、その課題に取り組んでいます。今は国内だけでなく海外でも活動していきたいです。




藤原麻里菜(ふじわら・まりな)◎1993年、神奈川県生まれ。2013年、東京NSCを卒業、YouTubeチャンネル「無駄づくり」を開設。18年には「無用發明展- 無中生有的沒有用部屋in台北」を開催

小野澤峻(おのざわ・しゅん)◎1996年、群馬県生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了。身体や深層意識にある根源的な好奇心を刺激する現象を追求している。

細井美祐(ほそい・みゆ)◎1993年、愛知県生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。東京、初台のNTT ICCで「Lenna」を10月30日より予約制で展示。羽田空港第2ターミナルにて「Crowd Cloud」を展示中。

文=露原直人

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事