藤原は、お笑いの学校、東京NSCを卒業した経歴を持つ無駄づくり発明家。2013年から活動を始め、国内外で個展を開いている。
美術作家の小野澤は東京藝術大卒。ジャグリングを物理や美術の観点から表現した作品づくりに挑む。
細井はサウンドアーティストとして活動する。自らの声を多重録音した作品のほか、美術館や屋外で音を使ったインスタレーション(作品が展示される空間全体をアートとして表現する手法)を生み出している。
彼らは何に影響を受け、なぜ表現するのか。
──表現を始めたきっかけは?
藤原麻里菜(以下、藤原):もともともの作りがすごく好きなのですが、つくっていると、どうしても“ゴミ”ができ上がってしまっていました。
才能がないなと諦めの気持ちもありましたが、「無駄づくり」と題することで、ゴミでも正解になるコンテンツができあがるなと気づいて活動を始め、8年間、無駄なものを作っています。
小野澤(以下、小野澤):幼い頃に父の影響でお手玉を始め、趣味でジャグリングを続けてきて、高校時代も老人ホームや幼稚園を回るなどパフォーマンス活動をしてきました。しかし大学受験で進路を決めるときに、この活動が何に繋がるんだろうと考えたんです。
そこで、根源的に「僕は表現したいんだ」というところに辿り着き、藝大を志望しました。大学では、物理や美術などジャグリングをパフォーマンス以外で表現することを模索しています。
美術作家・小野澤峻(撮影=You Ishii)
もともとはジャグリングを自分の体を使ってやるスポーツのような感覚でやってたのですが、僕は競技としてより、ボールが動く現象や軌跡の美しさに興味があるんだと気づいたんです。すると、自分の体では限界がある。自分の興味に対して不都合だなと。金属やコンピューターを使いながら、ジャグリングを拡張してみたいなと思い、それがアート作品に繋がっていきました。
細井美裕(以下、細井):私は高校時代にコーラス部に所属していたのですが、国際大会にも出場するような部活で、知らず知らずのうちに現代音楽などにも触れていました。大学入学後、高校時代のような大人数でコーラスができる環境がなく、一人で多重録音を始めました。
現在は、自分の声を使ったり、空間の音を使ってインスタレーションをしたり、音に関する開発をされている企業や大学の研究室と一緒に活動しています。