生産者のこだわりが正当に評価される世界へ
──今後のビジョンについてお聞かせください。
私たちが目指しているのは「生産者のこだわりが正当に評価される世界」です。そのビジョンに対する進捗はまだまだ1%くらいです。
いま「食べチョク」の認知が少しずつ広がってきています。生産者さんは元々ネット販売のポテンシャルのある方が使っていただけている段階で、例えば高齢の方やこれまであまりネットを使ってないような方はまだまだ参画しづらい状況です。特に一次産業従事者は平均年齢が68歳と高齢の方が多いので、そういう方々も参加いただけるサービスにしなければいけません。
そのための取り組みとして、最近は「ご近所出品」という、リアルを絡めた施策もはじめています。生産者同士がご近所で繋がって共同出品をする。ネットリテラシーのある方と高齢な方が協力するという、地域にあるリアルなネットワークを活かした取り組みです。
ほかにも、販路のサポートだけでなく、生産者が抱える人材調達や資材調達などの解決にも今後はアプローチしていきたいと考えています。「生産者のこだわりが正当に評価される世界」の実現に向けて、ようやくスタートラインに立てたのかなと思っているので、これまで積み上げてきた信頼を裏切らないことを前提としながら、より価値のある事業をつくっていきたいと思っています。
──では最後に読者である若手起業家、起業家予備軍のみなさんにメッセージをお願いいたします。
私たちは生産者さんたちから直接食材やお花などを取り寄せられる「食べチョク」というサービスを運営しています。
サービスをはじめたときは月に売上が2万円の時もあったなかで、現在では年間の流通規模が数十億円まで成長することができました。
起業していると辛いこともたくさんあると思うのですが、私は「努力する人は夢中な人に勝てない」という言葉をいつも胸においています。自分がいま目の前のことに夢中でいれるように意識しています。
夢中でいられると息を吐くように努力できるので、みなさんも目の前のことに夢中になって、一緒に頑張っていきましょう。
※インタビュー記事は2021年7月22日現在の内容です
秋元里奈(あきもとりな)◎1991年生まれ 神奈川県相模原市の農家に生まれる。慶應義塾大学理工学部卒業。DeNAにてwebサービスのディレクター、営業チームリーダー、新規事業の立ち上げ、スマホアプリのマーケティング責任者を経験。2016年11月にビビッドガーデンを創業し、一次産業の生産者が、個人に直接商品を販売できる産直通販サイト「食べチョク」を立ち上げ。著書に「365日 #Tシャツ起業家 「食べチョク」で食を豊かにする農家の娘」(KADOKAWA)。