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2021.10.30

グーグル元CEOが始動「10代の天才」を発掘するRiseプログラム

Michael Kovac/Getty Images


世界を変えたいという10代の若者の夢に大金を注ぎ込むのは、ある意味、ベンチャーキャピタル業界で「ムーンショット」と呼ばれる、野心的な賭けなのかもしれない。しかし、この投資は大きなリターンを生む可能性を秘めている。

2001年から2011年までグーグルのCEOを務めたエリック・シュミットは、当初、数学や科学の天才を支援したいと思ったという。しかし、妻のウェンディは、分野を問わず才能や可能性を、持つ若者を探したいと考えた。

才能ある10代の若者を見つけるために、彼らは世界各地の組織と提携し、メッセージを広めていった。アフリカやラテンアメリカからも候補者を探す過程で、Riseは、インターネットにアクセスできない応募者のために紙の応募用紙を用意した。

アフガニスタンにも広がるネットワーク


香港のボーディングスクールで学ぶ17歳の英国人のリディア・ルース・ノッティンガム(Lydia Ruth Nottingham)は、学校の使い捨てのマスクを再利用可能なマスクに変えるキャンペーンで、受賞者の一人に選ばれた。英国青年議会に5回選出され、ハーバード・プライズ・ブックを受賞した彼女は大学に進み、公共政策の仕事に就くことに興味を持っている。

シアトルの高校生のアディア・バート(Aadya Bhat)は、車いすの人でも洋服棚に手が届くように棚を引き下げるデバイスを考案した。バートは、医学部に進学し、恵まれない人々のための無料診療所を開設したいと考えている。

他の受賞者のプロジェクトとしては、司法改革をテーマにしたポッドキャスト番組や、食料問題を解決するための水耕栽培システム、難民キャンプの少女の妊娠を防ぐことを目的としたワークショップなどが挙げられる。

受賞を逃した応募者にも、Riseのネットワークに参加する機会が与えられる。5万人の応募者の多くは、グループチャットで連絡を取り合っており、タリバンがアフガニスタンを占領した際には、メンバーが結束して、その当時アフガニスタンに居た応募者の安全の確保をするようRiseに依頼した。

Schmidt Futuresはまた、将来有望な数学、科学、技術系の研究者を支援するプログラムを運営し、彼らが博士号を取得した後に、専門分野以外の研究を行う場合の1〜2年の研究活動を支援している。さらに、優秀な大学教員や大学生を支援するプログラムも検討している。

シュミット夫妻はこれまで20億ドル以上を寄付すると宣言しており、フォーブスの試算で、すでに6億ドル以上を寄付した彼らは、Riseの第2期生の発掘にすでに着手している。来年のコンテストも、15歳から17歳までの若者を対象としており、応募の受付は25日から始まった。

シュミットはこのプログラムを毎年、拡大していきたいと考えている。「Riseがうまくいけば、受賞者を100人に制限する必要はない。1000人になる可能性もある」と彼は話した。「私たちには十分な資金がある」とシュミットは述べている。

編集=上田裕資

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