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2021.10.30

グーグル元CEOが始動「10代の天才」を発掘するRiseプログラム

Michael Kovac/Getty Images

グーグルの元CEOのエリック・シュミットとその妻のウェンディは10月25日、世界を変えようとする10代の若者を探し出し、資金を提供する世界的なコンテスト「Rise」プログラムの第1回の受賞者を発表した。

インドの有望な16歳の若者であるアリアン・シャルマ(Aryan Sharma)は、その若さで、教育に特化した企業と、労働者階級の人々の就職支援を目的とした会社を運営している。彼は、より大きな目標を掲げ、AI(人工知能)と医療を融合させようとしているが、問題は彼のような若い起業家が、投資家を見つけるのが難しいことだ。

しかし、今年2月のある晩、彼の状況は一変した。シャルマは友人から、才能ある若者を大学に進学させ、世界をより良い場所にするための大胆な資金提供プログラムについてのメールを受け取った。「これこそ僕が求めていたものだ」と思った彼は、すぐに応募のメールを書き、AIと機械学習を用いてX線写真をスキャンして病気を発見するアプリのアイデアを提出した。

現在、理学療法にAIを応用することにも取り組んでいるシャルマは、25日に発表された「Rise」プログラムの受賞者100人のうちの1人に選ばれた。このプログラムは、推定231億ドル(約2.6兆円)の資産を持つグーグル元CEOのエリック・シュミットとその妻ウェンディが設立した慈善団体Schmidt Futuresが10億ドルを投じ、「他者のために働くグローバルな人材を発見し、育成し、支援する」という取り組みだ。

「私たちは、人生のある時点で他者からの支援を受けて前に進むことができた。しかし、才能が世界に広がっている一方で、チャンスは平等には与えられていない」とウェンディ・シュミットは話す。

そこで、彼らは2019年にローズ奨学金で知られるローズ・トラストと提携し、世界各地で15歳から17歳までの優秀な若者を探し出し、彼らを支援することにした。



優れた才能は16歳までに現れる


その結果、Schmidt Futuresには、世界から5万件の応募が集まり、その中から500人の最終候補者を選び、厳格な面接プロセスを経て100人の第1期生を選出した。メキシコ、ケニア、アフガニスタンを含む42カ国の受賞者の関心は、司法改革や生物の多様性など、さまざまな分野に広がっている。

受賞者には、4年制大学へのフルライド奨学金(大学に関連するすべての費用をカバーする奨学金)に加え、メンターシッププログラムや、他の受賞者との交流の機会が提供される。また、南アフリカで開催される3週間のサミットにも招待され、シュミット夫妻からノートパソコンやタブレット端末が支給される。また、受賞者は、自身が設立した非営利団体への助成金や、社会的企業を立ち上げるためのシード資金を申請することも可能だ。

「優れた才能は16歳までに現れるが、13歳や14歳ではまだ早いという一般的なコンセンサスがある」とシュミットは話す。
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編集=上田裕資

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